木曜日で妻のデイが休み。昼食を食べてから当然のごとくお出かけモードの妻のためとりあえずお出かけ。2時過ぎから行っても大丈夫なところということで選んだのが加須にあるこの美術館。
地元から車でジャスト1時間。5時まで開館しているので2時間近くゆったりと観ることができる。ここは通算3回目で、前回は去年夏のお盆休みの頃だったがガラガラでお客は自分たちしかいなかった。そして今日もウィークデイということもありお客はまた我々だけ。庭園も館内雰囲気も素晴らしい美術館が貸し切り状態でゆったりとした時間を過ごすことができた。
この美術館は本当に人におすすめしたい良い雰囲気のところなんだが、いかんせんアクセスが・・・・。最寄り駅は東武伊勢崎線の花咲駅。美術館の目の前には経営母体が多分一緒である平成国際大学がある。大学と美術館の併設というのは創価大学と東京富士美術館なんかも一緒だが、あそこも駅からのアクセスは難ありだったな。
まあこっちは基本車なので、高速道路を使えば本当に至近である。自分の家から車で行くと東京富士美術館、サトエ記念21世紀美術館、埼玉県近代美術館がどこもだいたい1時間前後で行けるところだ。もっとも車だと都内の西洋美術館や国立近代美術館もたいして変わりはしないけど。
サトエ記念21世紀美術館は、エミール・ベルナール、ジャン=ポール・ローランス、モーリス・ド・ヴラマンク、モイーズ・キスリングらの海外絵画、さらに日本の洋画家作品、そしてロダンらの彫刻作品も多数収蔵されている。
今回はそのコレクション展として蔵出しのように著名な収蔵品が多数展示されていた。
数えてみたところヴラマンク作品は6点、キスリング作品は5点展示されていた他、埼玉所縁の画家でもある田中保作品も多数展示されていた。しかし図録は金がかかるとはいえ、展示リストくらいは用意されていてもいいはずだのだが、けっこう立派なチラシがあるだけでリストはなかったのが残念。
この絵は意図的に花の部分に絵具を厚く塗り上げて立体的な効果を狙っている。これぞマチエールっていう感じだろうか。
その他で田中保の作品が今回は多数それこそ一つのコーナーのごとくに陳列されていた。「裸婦の田中」と称せられるほど、ヌード作品を描いているのだが、自分はそのうち数点ほどしか観ていない。特に印象に残っているのは伊豆にある池田20世紀美術館の『夢をみる裸婦』くらいだろうか。今回、この田中コーナーともいうべき作品の中では5~6点の裸婦像が展示してあり、その魅力の全貌を確認できたような気が舌。
その他では荻須高徳、浮田克躬、藤井勉など魅力的な画家の作品を多数観ることができた。
荻須高徳はフランスで活動した画家で、初期には佐伯祐三の傍らで修行しその死にも立ち会っているという。画風も佐伯やユトリロの影響が濃い。
また藤井勉は自分の三人の娘たちのポートレイトをその成長に即して描いている。その少女たちの生き生きとした姿は感動的でもある。
サトエ記念21世紀美術館は館内に入ると中心に吹き抜けの広間があり、そこから展示室三部屋と別れる。その広間にはロダンをはじめとした多数の彫刻作品がある。その中に国立近代美術館に展示してある萩原守衛の『女』も展示してあった。原型があり複数鋳造ができるブロンズ像ならではかもしれない。ロダンなどと共に展示してある萩原もまた別の味わいがある。
サトエ記念21世紀美術館は建物脇の庭園も沢山の彫刻が屋外展示されていて美しい。
とにかく素晴らしい美術館なので、多くの人楽しんでもらいたいと思っている。もしも様々な理由から閉館のようなことがあれば悲し過ぎる。いつもほとんど貸し切り状態のようにして絵画や彫刻をのんびり、ゆっくりと鑑賞できるのだが、もう少し人がいてもいいのではと思ったりもする。まあ年に1~2度は訪れたい場所だ。