例によってカミさんがどこかへ連れていけと言う。前夜けっこうな夜更かしをしていたので動き出しが遅く、家を出たのが2時過ぎということでどこへ行くか、近場だとまた富士美あたりか。でも富士美は今年になってすでに2回行ってるし。
考えてみれば自分にとってベースとなるべき上野西洋美術館も竹橋近代美術館のまだ年が明けてから行っていない。車走らせてもなんだかんだで1時間、3時過ぎから観るならどっちかと瞬時考えて、車を止めることも含めて、竹橋のほうが良さげという結論。ということで天気もいいのでMOMAへ行くことにした。
ホームページトップには川合玉堂の「行く春」が出ているが、これは3月後半からの展示。まあ例年花見の季節ということになる。北の丸公園の桜を愛でながら近代美術館で「行く春」に親しむ。まあそういうことなんだろう。
ということで4階の1室の目玉はこれでした。
もう見事としかいいようのない六曲一双の大作だ。現代の琳派と呼ばれる加山又造だが、自分には意匠の人という感じがする。新しい題材、モチーフ、表現に挑み続けた人という感じだ。
若冲や曾我蕭白を奇想と言ったのは辻惟雄らしいが、門外漢の自分には加山又造や川端龍子にも同じような進取な意匠を感じる。彼らも近代日本絵画における奇想と言ってもいいのではないか。こんなことをい言うと怒られるかもしれないけど。
その他では以前にも観ていると思うが、けっこう気に入ったのが浅原清隆の作品。シュールリアリズムを志向した作品はマグリットやダリを思わせる部分もあるが、どことなく抒情性が漂っている。
浅原は帝国美術学校を出た招集されビルマで行方不明になったという。戦争によって絶たれた才能。生きていれば戦後の現代絵画を牽引したかもしれない。美しいイメージとともに孤独、寂寥感が漂っている。