クラムスコイ「忘れえぬ女」を観る

 会議が割と早めに終わったので比較的近い竹橋のMOMATに行ってみると、金曜日だというのに模様替えのためお休みという。なんとなく途方に暮れみたいな心象風景で、上野でルーベンスはまだやっているかと考えた。すると啓示のようにそういえば渋谷文化村でクラムスコイの「忘れえぬ女」がきていることを思い出した。それも確かまもなく終了だったような。

 早速調べてみると27日までで、金曜日は9時までやっている。神保町からは半蔵門線で一本で行ける。ということで速攻向かってみる。

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/

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クラムスコイ「忘れえぬ女」

 クラムスコイの「忘れえぬ女」は大塚国際美術館の陶板複製画を観てから、ずっといつかオリジナルを観てみたいと思っていた。個人的には「究極の上から目線」と呼んでいた絵である。

 大塚国際で展示されている絵画はだいたいが有名画家の代表作、日本でも人気のある作品が多く、この絵も「北のモナリザ」「ロシアのモナリザ」と呼ばれていて日本でもたいへん人気がある。

 1976年に初めて来て以来40年の間に8回も来日しているという。ある意味ロシアの絵画の中では目玉的な作品ということになるようだ。

 実際行ってみるとこの企画展、終了間際の金曜日ということもありたいへんな賑わい。この絵の前には人がごった返すような状態だった。それでも時間をかけて人がすくタイミングでゆっくりと対面した。なんというかやっと会えたねと、この冷たい視線を放つ女性に話しかけるような感じだ。

 絵は筆触が確認できないような感じで、全体として新古典派あるいはロマン派のような感じで、どことなくシャセリオーを想起させるようなものがあった。時代的には19世紀中葉であり、ほぼほぼ同時代的である。同じヨーロッパにあって先進国フランスと後進国ロシアではあるが、雰囲気、技法、表現といった部分では繋がっているということを再確認した。

 その他の画家ではレーピン、シーシキン、アイヴァゾフスキーといった面々の作品はやはり素晴らしいと思った。クラムスコイを含めこのへんをロシア四人組とかってに呼んでしまおう。