枝野幸男・井戸まさえのトークイベントに行った

 神保町ブックセンターで行われたトークイベントを見てきた。

選挙のリアル – 神保町ブックセンター

「選挙のリアル 『候補者たちの闘争』刊行記念

井戸まさえ×枝野幸男 ブックイベント

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ドキュメント 候補者たちの闘争――選挙とカネと政党

ドキュメント 候補者たちの闘争――選挙とカネと政党

 

  ツィッター絡みで著者から案内をいただいたので、せっかくなので行ってみることにした。『候補者たちの闘争』がとても面白かったこともあるし、1期衆院議員を務め次の選挙を目指している現役政治家であり、またライターとして自らの経験から無国籍問題に関していい仕事をしている井戸氏にも興味があったことが一番の理由。そして野党第1党の党首枝野幸男氏の話を聞きたかったこともある。

 『候補者たちの闘争』については昨年暮れに簡単な感想を記した。

tomzt.hatenablog.com

 枝野氏と井戸氏の対談はとても面白かったが、『候補者たちの闘争』についての言及は割と少なく、どちらかというと井戸氏の質問に枝野氏が答えていくという形に近かった。まあ枝野氏の考えや立憲民主党の姿勢、方向性みたいなものの片鱗が見え隠れするようなそんな話だった。

 その中で枝野氏の頭の良さ、回転の速さはみたいなものがよくわかったような気がした。「政党を作り上げるのには20年かかる」というのはけだし名言だと思った。候補者を養成し、議員となるまでの生活の面倒をみることも政党の役目であるとし、そのためには100億くらいの金が必要になる。それを貯めるためには20年かかるというのだ。

 日本の政治には政党助成金制度があり、共産党以外の政党はその恩恵に浴していて、しばしば批判の対象となる。しかし一方で政治には金がかかるのも事実ではある。政治家には公設秘書以外にも地元の活動を含め数名の秘書やスタッフがいる。日々の政治活動、例えばビラの作製にしても金がかかる。

 外国に比べて日本の議員の報酬は法外なくらい多いという話もよく喧伝されるが、外国議員の経費部分がどうなっているのかについてはあまり報道されていないので、簡単には比較はできないのかもしれない。

 しかし政党をきちんと成立させるためには20年かかるという枝野幸男の言葉には、野党第1党の党首=政党経営者という視点が伺える。

枝野は同時に日本に近代的な意味での政党は共産党公明党しかないとも話した。自民党でもなく自らの立憲民主党でもなくである。確かに政党組織として確立しているのは、党費なり機関紙の購読収入に依拠し、それによって成り立っているという意味では共産党公明党だけなのかもしれない。

 政党の収入は今や政党助成金が一番だ。あとは自民党であれば企業献金民進党が分裂した立憲と国民はおそらく支援労組からの大口寄付が一番大きいのかもしれない。

 アメリカのように個人の少額寄付によって成り立つような風土がないのが日本の現状だ。昨年の上下院選挙で話題となったテキサスのベト・オルークやNYのオカシオ=コルテスのような草の根に支えられた若い政治家には、少額献金の積み重ねにより全米でも一二を争うような巨額の政治資金を集まっている。

 自分が支持する政治家に対して自分が支払える金額を寄付、献金することで政治家を支援し育てていく。アメリカの草の根民主主義を支えているのはそういう部分だ。このへんが日本には徹底的に欠けている。GHQ占領下、アメリカは様々な上からの民主主義の導入(押し付け)を行った。憲法はその最も良質な部分だが、民主主義において一番必要な自発性、こればかりは上からの導入ではいかんともしがたいものだったのかもしれない。

 トークイベントの後、この本を買って帰った。

 

枝野幸男の真価

枝野幸男の真価