MOMAT補遺

 近代美術館MOMATで気になった絵を思い出し、思い出ししている。4階の常設展にミニ企画的に、大家の欧州への渡航前、後の作風の変化を示すような並列展示がしてあった。なるほど、なるほど

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安井曾太郎

 セザンヌの影響下にあったという安井曾太郎だが、渡航前の左の絵はなんとなく印象派的な習作という感じがする。それに対して右の絵では独自のスタイル、色面や簡略されたフォルムみたいな、いわゆる安井調みたいなものが出ているらしい。

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梅原龍三郎


 これは梅原龍三郎だが、渡欧前の左の作品はルノワールの影響が大というか、そのものという感じ。それに対して渡欧後の右の作品は彼の特徴でもある色彩の華やかさがよく出ているようだ。

 20歳でフランスに渡った梅原はルノワールに師事した。ルノワールは若い東洋人の画学生に「君には色彩がある。デッサンは勉強で補えるが、色彩は天性だ」とほめたと言われている。

 梅原は大感激し、その色彩感覚を表現することに集中したんだろうと、まあ勝手に想像する。

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山口華楊「基地における整備作業」

 珍しい四曲一隻の戦争画日本画の達人はこのように戦争画を簡単に消化しちゃうということなんだろう。ここには写実とは異なる様式美があるように思う。

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3階日本画の間

 この静謐な雰囲気と美しい日本画に囲まれた空間が割と好きである。

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伊東深水「聞香」

 伊東深水の「聞香」。ただただ美しい人。

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太田聴雨「星を見る女性」

 太田聴雨「星を見る女性」の拡大図である。これもただただひたすらに美しい。