近代美術館MOMATへ久々に行く

 朝一番から都内で会議。11時くらいで終了、いつものならそのまま会社に戻るのだが、今日は2時から池袋の歯医者に予約を入れていた。そうなると3時間近く時間が空く。さすがにずっとスタバという訳にもいかないし、書店で時間を潰すにもちょっと長い。そこで歩いていける場所だということもあり、久々、竹橋の東京国立近代美術館(MOMAT)へ行ってみることにした。ここの常設展ならざっと好きなところだけだったら、2時間程度あればゆったりとした時間を過ごすことができる。

 この前行ったのは確か7月だったか。ここは自分にとっては上野の西洋美術館とともにベースになるところで、だいたい月に1度くらいは通っているのだが、少しだけ足が遠のいていた。ここの4階のハイライトの展示替えをいつも楽しみにしている。今回は菱田春草の「王昭君」。その隣には横山大観の「東山」が展示されている。なんだか朦朧体ツートップみたいな感じだ。

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菱田春草王昭君

 美しい情感溢れる絵だ。匈奴の貢物となる姫の悲哀を描いた作品という解説があった。

 同じ4階では相変わらず原田直次郎の「騎竜観音」が展示されている。

 その隣にはなぜかアンリ・ルソーの「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神」が。この絵は構図における黄金比率となっているというのを何かで読んだことがある。自分にはまだ構図のことがわかっていないのだが、いわれてみれば1.168の安定があるのかもしれない。それ以上にこの絵の中空にある女神と、下界で左右対称に招集される画家たち、上空と下界が微妙なバランスで安定しているとはいえるのかもしれない。

 不思議な絵だが、心に残る。ルソー好きの自分にとってはこの絵を観ることができるというだけで、近代美術館に足を運ぶのが嬉しい。

 そしてセザンヌの大画面の花束、岸田劉生切通之写生」、古賀春江「海」など、いつもの名作揃い。

 さらに2階の日本画の部屋ではなぜか加山又造の2作が気に入った。

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悲しき鹿

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月と犀

 この人は意匠の人だと思う。いずれも若い時分のものらしいが、西洋画の影響を受けつつ、日本画の可能性を広げようと格闘した痕跡が作品からにじみ出ている。それが観る者の心を魅きつけるような気がする。

 最後に2階の一室でコレクションいよる小企画「遠くへ行きたい」というのをやっていた。北脇昇、難波田史男、長沢秀之などあまり馴染みのない画家の作品が多数展示されていた。その中に太田聴雨の「星を見る女性」が展示されていた。この絵は大好きな絵で、数年ぶりに観たんじゃないかと思うのだが、この絵が観れてとてもラッキーだった。

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太田聴雨「星を見る女性」

 後で調べたのだが、難波田史男は多分そうかなとは思ったのだが、難波田龍起の子で、若くして才能を認められていたが、九州旅行からの帰り、フェリーから転落して早世したという。32歳だったという。