今回、気に入ったのはまずダヴィッドの「レカミエ夫人の肖像」。新古典主義の重鎮、ジャック=ルイ・ダヴィッドはあの大作「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」とかアルプス超えのナポレオンを描いたりとか、ナポレオンお抱えの画家というイメージもある。このレカニエ夫人も確かナポレオンの愛妾だったとか、そのへんは裏覚え。さらにいえば、ロココの巨匠ブーシェの弟子でもある。硬派の弟子がダヴィッド、軟派のほうがフラゴナールって何かで読んだことがある。
この絵に関していえば、なんとなくそのスベスベした感じがアングルと似た感じだなと思ったのだが、考えてみればアングルはダヴィッドの弟子なんで、当たり前といえば当たり前なのでもある。
アングルだとこのようにスベスベ感が全快となる。
「グランド・オダリスク」
そしてアングルの影響を受けたのが同じサロンを中心に活躍したカバネル。
この絵を新六本木のオルセー展で観たときは、ある種の荘厳ささえ感じたもんでしたね。それでいて色っぽい、艶っぽいし。どうしてもオルセー展はマネを中心に印象派に重点をおいた企画展だったけれど、やっぱり画力はサロン派のほうが圧倒的に上なんだろうなと思わせるものがある。そういえばアングルの弟子筋では、シャセリオーなんかもいて、こちらも画力というか絵は本当に上手いと思った。
こうした弟子筋つながりで、最後にこれも大好きなコランの「フロレアル」にいく。ラファエル・コランはカバネルのアトリエで勉強したということらしいので、アングルから始祖とするスベスベ感はしっかり継承されている。コランはルパージュと同門で自然主義、外光派でもあり、さらにいえば黒田清輝の師匠でもある。この流れからいえばポーラ美術館にある黒田の「野辺」あたりにいきたいのだが、大塚国際の複製画は西洋絵画だけなんでスベスベはコランでおしまい。
「フロレアル」
そして最後に大塚国際のお約束、大好きなリヴィエールの「エデンの園」。いつかオリジナルを観たいと思っているのだが、どの国のどの美術館に収蔵されていることも実はよく知らない。生きているうちにオリジナルを目にすることできるだろうかね。