トランプ大統領

 まさかとは思っていたが、トランプが大統領になってしまった。どんな奴かといえば、不動産王、大金持ち、そしてイロモノである。Youtubeでもいろいろと動画が出てくるが、人気プロレス団体WWE、かってのWWFのショーにも頻繁に出演(?)しているくらいである。悪役プロモーターにして団体の経営者であるヒールのビンス・マクマホン・ジュニアの敵対者としてである。彼がベビーフェースかどうかには異論はあるとは思うが、ショー的には確実に観客の歓声を浴びる方である。これが次期大統領の姿である。


 アメリカ国民はある意味最悪の選択をしてしまったのかもしれない。一代で莫大な財を築いたビジネスマンとはいえ、ほぼ予測不能なリーダーに核のボタンを与えてしまったのだから。
 トランプが勝つことをこの結果の前に予測していたのが、政府批判で名高い映画監督マイケル・ムーアだ。彼の寄稿した「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」は彼独特な逆説的な意味を込めつつ、トランプが大統領になる可能性、現実性を的確に指摘していた。まさかムーアも自らの指摘がかくも見事に的中するとは思っていなかっただろうが。
ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう | ハフポスト
 自分自身、トランプ大統領という現実に正直戸惑っていて、何か考えをまとめることが出来ない。ただ確実にいえるのはヒラリーが大統領選を通じて訴えていた女性の社会進出を閉ざす例の「ガラスの天井」、それは21世紀にあっても思っていた以上に厚く、ほとんど耐熱耐荷重を備えた防弾ガラスのごときであったことが証明されたということだ。
 アメリカという国はレディー・ファーストの国だかなんか知らないが、我々が考える以上にマッチョによって構成されている国なのだ。アメリカでの女性の理想は、例えば「大草原の小さな家」のインガスル一家の奥さんのように、夫を助け、夫と一緒になって農作業をこなし、家事全般をこなすそういう、たくましい女性のことだ。社会進出は多分、学校の先生になることくらい。けっして政治とかに旦那をさしおいて政治に口を出すなんてことはあってはならない。結局そういう国なんだろう。
 アメリカ中西部の男どもにとっては、知性と教養にあふれタフな黒人男性になら政治は任せてもいい、まあ少しの間くらいは。でも女に、賢くて弁の立つ女にリーダーとして指図されるのは多分もっての外だったのだろう。古い記事ではあるが、ヒラリーがオバマに破れた民主党の予備選の結果について感想めいたことを書いたことがある。思えば8年も前のことなのだが、なんていうか状況は一切変わっていないような気がする。確かこんなこと書いたり、引用したりしていたっけ。
アメリカ大統領選のもう一つの側面 - トムジィの日常雑記