長野へ

急遽、妻の実家に短時間寄ることにする。
数日前に妻の母親が電話を寄越してきたという。正月以来行ってないので、向こうも年も年だし、淋しいのかもしれない。
行ってみると母親顔がえらく腫れあがっている。何でもトイレで転んだのだとか。70代後半の後期高齢者である。気をつけてもらわないと。
私の祖母は98で亡くなったが、それまでに三度転んで腕、左右の大腿骨を骨折している。大腿骨の骨折は老人特有で転んだときにけっこうな確率でやる。いずれもボルトで骨をとめる手術をした。祖母は驚異的な回復力で二回ともきちんと復帰し歩行もできた。しかし、冬になると寝たきりになる時間が増えた。
寝たきりの祖母のシモの世話とかもずいぶんとやることなった。その頃は私と兄の二人で祖母の面倒を見ていたのだが、ほぼ一環して祖母の世話は私の役割だった。30代になるかならないかの頃だったからかれこれ26〜7年前のことになるのか。思えばその頃から介護は生活の一部だった。だからこそ今、普通に障害をもった妻の世話ができるのかもしれない。祖母の葬儀の後、焼いて骨となった中に大きな金属製のプレートとボルトがしっかりそのまま出てきて、こんなもので固定されていたのかとびっくりしたことも覚えている。
妻の母親にもとにかく転倒に気をつけるように言った。転んで骨折となれば日常生活に大きく支障がでるのだからとも。
短時間の訪問だった。行こうと思えば3時間足らずで行くことができる。なのにどんどんと足が遠のいていく。正直運転のしんどさもあるし、それ以上に生活に余裕がないのも事実だ。子どももしだいに大きくなって手のかからないようになってきている。当然だ、高校生なのだから。妻の障害も安定しているといえば安定している。仕事は楽ではないが、立場柄以前ほど細々としたことに煩わされることはなくなった。とはいえ立場的に抱えることも増えたしストレスもある。次いつ行けるかどうか。それはいつものことなのだが、次第次第に自分の生活で手一杯になりつつあるのかもしれないな。