総選挙雑感

いやはやなんとも、ハァ〜と溜息。かくも興味の薄い総選挙も近年まれにみるものがあったかな。それにしても自民は勝ち過ぎだろう。みなこの結果に幾ばくかの驚きとともに、そういう感想を持っているようだけど。
投票率と小選挙がミックスされると、さらに東アジアの辺境にある民主主義後進国にあっては、こういう結果になるということか。誰が国民のバランス感覚だよ、これじゃただのオセロゲームじゃないか。郵政選挙で白になり、その反動で黒になり、また白になりか。多分次の参院選はそれなりに民主党が盛り返すか。もっともそれまでかの政党が存在するかどうか。そして自民党公明党政権は今後4年間、首相の首を挿げ替えてダラダラと政権たらい回すだろう。
安倍君、勝ち過ぎなのに妙に神妙にしている。なんか過緊張なのか、顔面妙に白っぽい。あれは病気じゃないのか。次は石破あたりで次は石原の息子あたり、最終的には小泉ジュニアあたりまでいくんじゃないか。それでもみんな化けの皮がはがれてみたいな。
しかしあそこまで勝ちすぎると本当に憲法改正あるかもしれんな。自民党が本気なら次の参院選の前に安倍君ダウンさせて、一気に小泉ジュニアもってきて選挙大勝利。そして一気に改憲、9条つぶして、自衛隊国防軍に名称変更、ついでに天皇国家元首にか。徴兵制とかもあったりして。強い国日本を現出させるか。
ここまで自民党が大勝利したのもひとえに民主党政権の大失敗のせいだろうな。稚拙な権力闘争、稚拙な政治運営、最終的には政治主導どころか、官僚に完全にヘゲモニー握られて・・・・・。小沢一郎は歯噛みしていることだろう。政権握った最初の2年間で自民党の支持基盤がたがたにさせて、それこそ自民党を壊滅させるはずだったのにと。
しかし自業自得ではあるな、小沢一郎。もともと小選挙区制始めたのが彼だし。二大政党による政権交代を目指してというのが理屈なんだろうが、二大政党制の基盤となる民主主義が確立されていないんだよこの国は。それは土建屋国家でドブ板選挙担ってきたんだからわかっていたはずだろう。分かっているよ、自らが権力を握るための道具だったんだよね政治制度もなにも。
嘉田由紀子を祭り上げて脱原発を掲げたけれどあまりにも準備不足だったよね。でもあの小沢が、小沢一派が脱原発訴えても、ちょっと痛かったと思う。3.11以降こいつが、こいつらがやっていたのは原発事故への対応や地震被災地のための復興でもなんでもなく、ただの権力闘争に終始していただけだったのだから。もう一生懸命、菅の足ひっぱり続けていたよね。あれをずっと見させられていたんだよ国民は。あれで民主党と小沢にだけはコリゴリということになってしまったんだろう。3.11の後になぜ挙党体制作れなかったのだろう民主党は。それを思うとやっぱり小沢の存在が一番ネックになっていたんじゃないかと思う。
でもね一応選挙にはいったわさ。小選挙区はもう誰にも入れられない。自民党はあかんし、かといって民主党は名前からなにからまったく知らない若造。未来は小沢のポチ君みたいなやつ。しょうがない、生まれて初めて私、共産党にいれちゃったよ。正直、白票入れたかったし、そうした人がたいへん多かったんだろうなと思う。誰一人、入れたい奴がいない。
そして比例区マキアヴェリ的に心を鬼にして、未来に入れたよ。でも、比例区の順位みると、上位に入るのはみんな小沢のポチばかり。こいつらちょっと前まで原発推進だったよな〜、みたいな感慨もありつつ、とりあえず嘉田由紀子だけは一本筋が通っていそうな気がしないでもなく、とにかく自身の原発への立ち位置を確認するためだけに投票した。
これからの4年間はとりあえず死んだフリしている。いや年齢的にいうと本当に死んじゃうかもしれないな。もう政治はあかんよ、みたいな感慨もないではない。残り少ない人生だし、まだまだ家族のために働かなくてはならないけど、それ以外の時間はせいぜい趣味なりなんなりに比重を大きくしてもいいかもしれん。ただ反原発だけは問題意識を維持していきたいとは思う。もうこれはライフスタイルというか矜持のレベルのことだよ。
私が生きているうちにこの国に民主主義が定着することはないんだろうな。敗戦後の進駐軍占領下に始めて導入された制度でしょ。まだ70年もたっていないんだよな。ある意味、これから後100年くらいかかるんじゃないだろうかな。政策本位で二大政党が拮抗しながら何年かに1度づつ交代で政権を担っていく。そうやってちょっとずつ政治が、社会が、いい方向に進んでいくみたいなそういうモデルが定着するのは。もっとも現実レベルでそれがきちんと定着している国など実はないのかもしれないけど。ただし西欧レベルの政治がかの国にも少しずつ定着してもいいのではないかとは思う。少なくとも西欧に生まれた民主主義という政治制度は、相対的に瑕疵が少ない制度として定着してきたのだろうから。
この国での変革はありえるのか、難しいのだろうな。近代以降の大きな変革は、黒船にしろ敗戦にしろ、外圧によって行われただけなんだ。国民が主体的になにかをしたということはないんだよね。なぜかって、結局上から下まで私的な現世利益が貫かれている社会だからね。公的な精神とかはまったく育ってこなかったんだよ近代にあってもね。あとモラルとか倫理とかそういうのも希薄だしね。だいたい宗教が現世利益と葬儀だけの存在だし、信仰心とかあり得ないんだろう。
天皇は日本人のモラルや公共心の中核を担う存在になりえるか。それはたぶんこれからの課題だな。少なくとも明治以後に確立した天皇制はまだ144年しか経っていない。その半分は大衆天皇制として女性週刊誌に芸能人やアイドルと同じ紙面で扱われるような存在だ。国民の規範意識の源となりうるような存在なのかどうか。個人的には昭和天皇には一般国民にはありえないような、崇高かつストイックなモラリズムが体現されていたようにも思うけれど。
どうにも脈絡がないな、しかし次の黒船、敗戦はどんな風に訪れるのだろうか。戦争!?暴発的には北朝鮮あたりから火がつく可能性もないではない。でも周辺国協力して火消しに努めるだろう。あの国がつぶれた暁にはそのツケを応分に負わなくてならない。まずは韓国、そして中国と日本だ。あの国とあの国民を負債を支えるとなるとGDPをどれだけ引き下げることになるのか。
ドイツが統一して西独が追った負の遺産を思うととね、どこも自分に出来るだけ火の粉がかからないようにと考えるだろう。最も韓国だけは避けてとおれない。でもけつ持ちを、日本にもと考えるだろうね、歴史的な関係からすれば。中国はプラグマティックに国境閉鎖して必死に目逸らしするかもしれないし。そうなると人の良い、外交ベタなわが国がかなりの負担強いられたりするのだろうか。
韓国と日本の軋轢はというと、たぶんそれはアメリカが許さないだろう。わが国のエスタブリッシュメントの本音は竹島はどうでもいいとか、尖閣だって中国のマーケティング喪うくらいならあげちゃえくらいに思っているかもしれない。
日本のニワカ的な右よりの人々は中国に対して大変手厳しく思っていらっしゃるみたいだけど、まともに考えればたぶん勝てないよね。13億だぞ、人海戦術でやられるよ。それに暴発的な局地戦はあっても大きな戦争はありえないだろうし、もし中国が本気でなにかやるとしたら、裏でアメリカにナシ通してくるだろう。
アメリカは普通に損得考えるだけじゃないか。たぶん今後世界は二大強国の均衡でしばらく続くだろうし、日本はその狭間でせこく商売していくしかないんじゃないかな。
最も中国はあの国土、多用な民族、人種、その他もろもろを一党独裁で束ねていくのは難しいだろうから、たぶんたぶん自壊していくにちがいないとは思う。旧ソ連みたいなことになる可能性は多々あるだろうけど、それでも北京政府は上海、香港あたりまでは支配してそこそこの強国であり続けるだろう。正直ロジアより手ごわいだろうし、今の中国にとって負の部分であるから万里の長城より西はいらねえとか思っているかもしれないけど。
なんか選挙からとんでもなく遠いところに来てしまった。でも今度の選挙結果、普通ありえないだろうとは思うよ。