原発はそれでも必要か

新聞各紙から世論調査が発表された。管政権の支持率は相変わらず2割台。震災原発対応も6割が適切でないと、マイナス評価だという。
管などはなから支持もしていないし、民主党政権にも幻滅しているから、世論調査の数字などまあどうでもいい。ただ震災原発対応の低い評価にはいささか同情しないわけでもない。
実際どこの政党がやっても似たり寄ったりだろうとも思う。いちおう原発対応を最優先してきたこと、自衛隊の派遣と短期間での増員など、ある程度やることはやってきていると思う。一時撤退で動こうとした東電に管自らが出向き、翻意させたこと。もし撤退すれば東電はつぶれると恫喝をかけたというのが、パフォーマンスのごとくに喧伝されるが、もしあそこで原発対応に国が全面対応することになっていれば、それはそれでなぜ国が全面に出るのかと叩かれたに違いない。
ようは管政権の批判さえしていればいいという風潮が蔓延していることに問題があるのだ。野党はもちろん、民主党内でも反主流の小沢一派や鳩山も管政権の不手際を口にしていればそれでいいという、きわめて無責任な態度である。
そもそもこれまでの原発政策を推進してきてた立場の自民党に反省、内省の声が一言でもあったか。東電、通産省とともに原発ムラを形成してきたのが自民党を中心とした政権である。原発を誘致して利権をむさぼりつくした政治家が十指はくだらないだろう。一部には元自民党、今民主党の長老なんていう輩もいるようだが。
そうした原発利権にはまりこんだ自民党に今回の原発震災の対応ができたかどうか。まあ常識的に考えても、管政権と似たり寄ったり、あるいはそれ以下の対応しかできなかっただろうと思う。単なるタラレバではなくてそう思う。
それではなぜ管政権の不手際を強調するのか。それによって原発に対する国民の不信感の拡大を防ぐ、反原発の声があがるのを反故にしようという深慮遠謀があるのではと思わざるを得ない。たぶん原発推進派を中心とした勢力がよってたかって、そういう世論形成を進めようとしているということなんじゃないかと思う。
だいたいにおいて、これだけ深刻な原発事故が起きたというのに、原発に対して否定的な声は、世論調査上でも4割台にとどまっているという。これを大衆の成熟と考えるかどうか。違うだろうと思う。こうした世論形成に大きく影響を与えたのが、例の計画停電だったのだと思う。
原発がなくなると大変なことになりますよ。停電になってとても不便なことになりますよということを大衆に実感させた。あの効果は絶大だったと思う。実際には各地域とも3回程度しか実施されなかったが、そもそもあの計画停電は本当に必要だったのだろうか。なし崩し的に中止が続き、とりあえず当面はとりやめとなってしまった。
実際本当に必要だったのか、実施された計画停電によって電力需要が削減されたのかどうか、本来的にはどこかがきちんと検証すべきことなのだと思う。そうでないと、あれは実は、東電、通産官僚あたりがしくんだある種の陰謀、ブラフとでも思わざるをえなくなる。あれによって本来は一気に高まるはずだった、原発への不信感、反原発の声を低減化させることにつながったからだ。
プロバガンダとしてはきわめて有効に作用したことは間違いない。しかし本来的にはどうだったのだろうか。