西松建設裏金事件はこんな見方ができないか

小沢民主党党首の公設秘書逮捕と政界にまで及び始めた西松建設の裏金疑惑について、西松建設からの政界への献金リストについて検索してみた。まあいろいろ出ているが1月に赤旗に載った記事が一番詳細のようである。
西松建設政治団体/資金提供 全容わかる/小沢民主代表 3100万/尾身元財務相 2080万/二階経産相 868万
献金リストだけを引用するとこうなる。

確かに小沢一郎が突出しているなという印象だ。民主党岩手県連は実質的に小沢への献金に入れてもいいだろうから4000万円となる。特捜が金額の多寡を問題にして頂上から攻めたという意味では今回の小沢の秘書を逮捕したのはある部分妥当ともいえるかもしれない。
小沢が突出している分、自民党の各政治家への献金はそれぞれの政治家の小粒さに比例しているようにも思える。それでも総額では6632万。民主党の合計4200万を若干超えている。さすが政権党である。別にだからといってなぜ小沢だけみたいな論を進めるつもりは毛頭ない。
どこかのブログでこの献金リストへの感想として、民主党関係者も元は自民党みたいなことが書かれていた。なるほどなるほど。小沢も山岡も元は自民党田中派経世会の流れである。民主党は旧自由党新進党新党さきがけ系、社民党系、民主党系の寄り合い所帯ではあるのだが、今やその主流が小沢グループであることは誰も否定できないだろう。
なにが言いたいかというとだね、早い話が今の二大政党制といっても、実は民主党はイコールで旧自民党の小沢派みたいなものじゃないかということだ。政治状況は相変わらず自民党を中心とした保守党の一党支配であり、小沢民主党は非主流の小沢派であり、かつ次期政権に一番近い派閥であるということ。
だから小沢の献金額が突出しているのは非主流の最大派閥だからということじゃないの。それに対して現在の自民党への献金が小粒でバラまきに近くなっているのはというと、ようは今の自民党の派閥が求心力がほとんどなく、考えようによっては解体化された小さなグループみたいになってしまったということ。だから最大派閥清和会の実力者である森あたりでも500万程度になってしまっているということ。
自民党の派閥がこんな風に弱体化したのはたぶん小泉純一郎の例の「自民党をぶっ壊す」にあるのだろう。小泉は旧経世会系とその資金、影響力の源を徹底して破壊したのだろう。公共事業の削減、郵政民営化、考えようによっては小泉の政策のモチベーションは実は経世会憎しみたいなことだったのかもしれない。
だから今の自民党の派閥領袖はさほどの資金力もないし配下の陣笠にモチ代配るなんてこともないのだろう。当然影響力もなくなっていく。一方で小泉の影響力がなかった民主小沢は相変わらずそれをやっている。彼はなんだかんだといって民主党という派閥のオーナーなんだろう。だから金が必要なんじゃないのかな。ただし民主党という政党の本当のオーナーは大金持ちの鳩山のような気がしないでもないけど。
だから今回の小沢秘書逮捕というのはある意味では権力闘争という側面が当然あるだろうという気がする。小沢が、民主党国策捜査だというのも頷ける部分もある。それは政局における権力闘争というコンテクストのなかでということになるけど。同様に謎の政府高官、漆間官房副長官による「捜査は自民党議員に波及する可能性はない」という発言も同じ文脈の中ではきわめて妥当というか、まあありそうな発言なんだとは思う。すべてはある意味で古い自民党的体質の中での権力闘争の一環みたいなものなんではないかと。
今後どうなるのかなぞ神のみぞ知るということだろうが、なんとなく小沢はもたないような気もするな。小沢は辞任して師匠のごとくヤミ将軍みたいな影響力を維持していくのだろうか。小沢の代わりに小沢の資金力や影響力を継承するようなタイプの政治家が民主党にいるのかどうか。なんとなく流れは二大政党による政権交代という近代的な民主主義の方向とは異なる政界再編の方向に動くようにも感じられる。ようは保守党内での離合集散みたいなことだ。流れによっては体制翼賛的な巨大な政権党が誕生するかもしれない。
なんにしろ日本という国にはつくづく民主主義が根付かないということなんだろうな。中央はもちろん地方にいたるまで。こりゃもう千代田区千代田1番地の止む事なき方の親政を仰ぐのが一番なのかもしれないな。