おっぱいバレー

おっぱいバレー [DVD]
これもTSUTAYAで借りた。不覚にも途中何度か目頭熱くなり、頬にを涙がつたった。妻と娘と三人で昼下がりに観たので、二人に気づかれないようにしていた。齢五十路を超えてから私の涙腺は緩みっぱなしなので、この手のものにはめっぽう弱い。しかたがあるまい年だものと居直らざるを得ない。たぶんみえみえのお涙頂戴系の映画とかでも完全にやばそうだ。今新作でレンタル開始したばかりの「余命いくばくもない花嫁」じゃなくて「余命一ヶ月の花嫁」だったか、あの手のものを観たら、おそらく延々涙ぐんでいることだろう。
話を戻そう、「おっぱいバレー」である。この恥ずかしいタイトルは劇場の窓口でチケットを買うときに、声に出すのをはばかれてつい別の映画を観てしまった男性が多数いたと噂され、ついには「OPV」という略称で語られるようになったとさえいわれる映画である(本当か!?)。様々に語られ、テレビでの宣伝でもそのタイトルに反してたいへんまっとうな青春映画であるといわれていたが、まさしくそのとおりである。実際面白かった。
ひょんなことからバレー部の顧問となった新任女教師が、これもひょんなことから部員から「1勝したらおっぱいをみせる」という約束をさせられる。邪なモチベーションにもかかわらず、逆にそれだからこそか、バレー部は懸命に練習を積み、顧問の先生も一生懸命練習を指導しつつ、でももし勝ってしまったらどうすべきかと煩悶する。
性に目覚め、四六時中ろくでもないエロいことを考え続けるおバカな男子中学生たち。実際14〜15歳の男の子なんてそんなものだろう。そういうおバカさが微笑ましく、よく描かれている。一方で若い女教師は、過去に教え子との約束を破って信頼を失ったことがあり、今回のおっぱいを見せる約束を無碍にできないという心理的葛藤がある。そのなかで彼女が次第に成長していく姿がきっちり描かれてもいる。よく出来たお話、よく出来た演出。
 主役の綾瀬はるかも好演しているとは思う。彼女の個性ともいそうなおっとり感がうまくマッチしている。ほとんど素人を集めたという男子バレー部員たちもとてもよい雰囲気をだしている。すべてのうえで及第点をあげられそうだ。カメラもときにまさしく映画的な構図をとくに背景、風景等でうまくきりとっている。いい雰囲気だ。
と、ある意味絶賛してもいい内容だ。大のオヤジをうるうるさせるだけのものをしっかり備えた映画なのである。しかし、この映画はもう少し良い映画になるべき部分があるんじゃないかなと思う部分もある。まず褒めたばかりの綾瀬はるかなのだが、この映画のヒロイン、女教師をやるには少しばかり役不足ではないかと思っている。どこか、「おっぱいバレー」の女教師演じるにはこの人バストが小さい、小さすぎるのである。ここはやっぱり胸の大きな女優をもってくるべきだったかなと思う。それじゃ誰をとなると、すっとでてこないけど、例えば一昔前のイエロー・キャブ系のグラビアアイドルみたいなタイプか。とにかく胸が大きくて、それでいて顔立ちは清楚なみたいなタイプが良かったんじゃないかと思う。
そして意味もないようなバストカット、こういうのが必要な映画だったんじゃないかと思う。さらにいえば中学生の視線をカメラワークとして表現すれば、やっぱり女教師の胸中心のカットみたいなことになるだろう。しょせん頭の中はしょうもないエロチックな妄想のオンパレードなのである。彼ら視線がどこにあるかなど一目瞭然ではないか。
例えば彼らが対戦相手の偵察に他校の体育館にこっそり潜入する。そこで新体操部の練習を目撃し、初めてのレオタード姿に感激してうっとりしているところを発見されるシーンがあった。あのときの新体操の練習している女子のカットは、やはり覗き見している男の子の視線をなぞるように、胸とか下半身中心のカットでもよかったのではないかと思う。それでは嫌らしくなり過ぎるのではないか。いやそんなことはないだろう。舐めるような嫌らしい視線ではない、中学生のドキドキワクワク、嬉し恥ずかし視線。そういうカメラワークは絶対にあるはずだと思う。
さらにだ、男子バレー部の誰か一人、こいつの視線は常に女性の胸にだけ集中するようなそういうカメラワークだって面白かったんじゃないかと思う。女教師に向かって話すバレー部員。しかし画面にいつも映っているのは女教師のバストカットみたいな。
いっそ最後に大人になったバレー部員の思い出話とかのシークエンスをいれても面白いか。みんな懐かしくバレー部の思い出を語り合う。そしてお世話になった女教師のことを思い出して語る。でも誰一人女教師の顔を覚えていない。その胸のことは鮮明に目にやきついているのに。みたいなのはどうだろう。もちろんみんなが焼き付けた女教師の胸は白いブラウスやジャージにつつまれたバストなんだけどさ。
どうせ「おっぱい」とタイトルつけるのだから、そこまでの過剰さが必要だと思うし、より面白い映画ができたんじゃないかと思う。まあいいか、あんまり「おっぱい」だのバストだのと語っていると見識を疑われそうだから。
でも冒頭の自転車に乗って坂道を疾走するシーンは面白かったな。みんな片手をつきだして手に風圧を感じる。時速60キロだとやれAカップだのなんだと、ようは女性の胸の感触を擬似的に風圧で再現するという、恐ろしくバカバカしい集団妄想行為なのである。本当におバカなんだよな、このくらいの年齢の男子なんて。