WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜

 これも夜中にアマゾンプライムで観た。面白かった。
 矢口史靖監督作品に外れなし。「ウォーター・ボーイズ」「スィング・ガールズ」「ハッピー・フライト」などなど。
 この映画も特に期待した訳でもなく、公開時もほとんど注目しなかったし、レンタルDVDにも食指が動くこともなかった。なんとなく「ロボジー」あたりから少し飽きたかな、別に観なくてもいいかなというような監督さんになっていた。
 今回はというと、まあひとえにアマゾンプライムのおかげ。無料だし面白くなかったら途中でやめちゃえばいいしという気軽さで、なんとなく邦画のリスト眺めていてこれは確か矢口作品なんで観てみるかみたいな感じだ。
 お話は大学を落ちたチャラい男の子が、偶然パンフレットの表紙に載っていた女の子目当てで林業研修に応募して、携帯電話も繋がらない山奥で1年間林業の研修に従事するというもの。最初はダメっぷり全開だったが、じょじょに仕事に慣れるとともに成長していく。
 そういう意味ではよくあるお仕事映画であり、仕事を通じて男の子が成長を遂げていくという、割とよくあるパターン。それを面白いお話にしてしまうのは矢口監督の脚本と演出の力量。そして林業という地味でハードワークな仕事は、実は地道な伐採作業を続け、手をかけて育てた木が木材となるのには百年という長い長い歳月を有する。劇中でも林業の親方は、農業なら自分が育てたもの味わうこともできる。でも林業は自分が育てたその成果は自分の子どもや孫の代でないとみることができない、そういう仕事なんだと語らせる。
 さらにスクリーンからも漂ってるくるような木材の香り、それに主人公が包まれ、それを嗅ぐことで林業という仕事に従事することへのアイデンティティを形成するのがわかるような流れにもなっている。
 主役の染谷将太は飄々とした感じで好演。脇を固める伊藤英明、優香、光石研西田尚美等がみんないい。そして何よりも主人公が想いを寄せる、男勝りな小学校教師役の長澤まさみが素晴らしい。気の強そうな田舎の女の雰囲気をよく演じている。この人はもともと10代の頃からアイドル女優として主役をはってきているのだが、うまいこと大人の女優に転身したようで「海街ダイアリー」なんかでも良い雰囲気だしていた。今回の映画は、彼女がヒロインを演じることで一本締まった感じになったように思う。
 こうやってみると今、邦画が洋画を興行収入で上回るのが理解できるようにも思う。いや実際、邦画はかなり面白いと思う。