秋田の連続児童殺害事件に無期懲役判決

http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200803/sha2008032008.html
なんとも居た堪れない事件だった。小さな子どもが二人殺されている。それで無期かという部分。死刑という制度自体に疑問視を持つ部分もないではないけど、二人殺して、それも将来ある子どもを殺害した犯罪に対する量刑としては軽すぎないかと率直に思う部分もある。豪憲君のご両親の無念さを思うとなおさらその思いが強くなる。
ニュースとともに流される殺された二人の子どもの映像には本当に居た堪れない気持ちになる。特に彩香ちゃんの幼い映像には正視できないような悲しみを覚える。この子は親からネグレクトされていたのに、人懐こく見知らぬ人にも積極的に話しかけることが多かったという。母親の愛情が薄い分、なんとかして他人からかまってもらうためにそうしていたのだろう。いじらしくて涙が出そうになる。
子どもを保育園に入れていたから私にはなんとなく子どものそういう気持ちが垣間見れるところがある。遅い時間に子どもを迎えにいくとき、見知らぬ人の親である私に「あそぼう」「抱っこ」「肩車して」と近づいてくる子どもたちが何人もいた。長時間保育されている子どもたちは、とにかく誰かにかまってもらいたいのだ。
西原理恵子の漫画『できるかなV3』の中で、「ホステスできるかな」という体験ホステスをする一編があった。夜遅く仕事が終わってから勤めているキャバレーが併設している託児所に子どもを迎えにいくと、西原に向かって満面の笑顔で突撃してくる子どもたちがいる。西原はその絵にこうネームを書き添える。

「わたし、あんたのことしってるよ。
 チャンスがすくないからさ
 いっしゅんで 自分のいちばん いいとこみせて
 たくさん かまってもらわないと
 いけないんだよね。」

たぶん彩香ちゃんはいつも母親鈴香のご機嫌を伺いながら生きていたんだと思う。そんな子どもを母親は橋の上から突然投げ落としたのだ。小さな子どもには一瞬何がおきたのかもわからず、たぶんそのまま絶命したんだろう。
鈴香という女はその罪だけでも万死に値する。おまけに自分の身勝手な思いから、近所の子どもをも手をかけたのだ。死刑制度が現にある以上これはやはり極刑を下されてもしようがないのだろうとは思う。
しかし畠山鈴香という女性もまたある種の被害者的部分をもった女性でもあるのだとは思う。ニュースショーでも話題となったことだが、彼女の高校時代の卒業文集のひどい内容など、おそらく長期にわたっていじめを受けていたことが想像される。家庭環境も貧困であったと聞く。そして母子家庭で生活保護を受けていたことなどなど。
なにかどこまでいっても救いのない事件である。そして格差が拡大しているこの社会にあっては、彩香ちゃんのように救いのない生活をおくっている子どもたちが多数いるにちがいないのだとも思う。親によって生殺与奪を握られた絶望的な子どもたちが。