余裕もなくすぐにキレる

最近、家でほんの些細なことからキレてしまい、娘や妻にあたるようになってきている。そして本当にひどい言葉を口にしてしまう。娘にも手をあげることさえある。いけない兆候だと思う。後でなんでこんな小さなことでキレてしまうのだろう、なんであんなにひどい言葉をぶつけてしまうのだろうと反省することもたびたびだ。でもたいていの場合、ひっこみがつかないから妻や娘に詫びたりすることも出来ずにいる。
例えば昨日のこと。朝の9時半に介護保険の訪問調査があった。調査員はもともとはウィークディを指定してきたのだが、私も同席するので土日を希望してこの日になった。だから休みなのにいつものとほとんど変らない7時台に妻と娘の朝食の用意をした。訪問調査は1時間半くらいだったか。こちらの事情を説明し、これ以上介護度を下げられて受けられるサービスが低下すると、家族(=私のことだね)の負担が増えることなどを話した。調査員がどの程度受けとめたかはわからないが、短時間の面談で調査員が妻から受ける印象では、確実に介護度下げるような調査になるだろうなとも思う。
だいたいにおいて身障者と高齢者を一緒くたにする制度自体に問題があるんだと思うし、そのことを率直に調査員にも話した。調査員もまた自身もおかしいとは思っていると話す。でも制度として決められてしまったことですから、どうしようもないことですとも言う。そう、そのとおりなのだ。
朝からなんとなく不毛な面談をしていたせいか、休みだというのに少々消耗。その後は1時から娘の通う学童=保育園のクリスマスコンサートに出るためその準備に入る。毎年、この保育園はプロのバンドによる生演奏のコンサートを開いてくれる。園長曰く、子どもたちだけでなく、親御さんたちにもライブを聞いてもらう機会を作ってあげたいということからはじまったものだ。もう、今年で7回目くらいなるのだろうか。
この日は、アフター=学童の小学生たちはおめかししてきていいことになっている。娘の着るおめかし着は、前日用意しておいたので娘は一人で割りと早くから着替えてしまった。だから妻の着替えやらなんやらくらいだったのだが、たまたま妻の生理が始まってしまったりもあって、少々バタバタしてしまった。
それでいざ出かけようとしたら、娘が急に洗面所で髪にゴム留めをしたいと言い出した。開場時間まで後十分くらい。園までは車で5分くらいでいけるけれど、妻の車椅子のことを考えると時間はほとんどない。で、私はキレた。「お前今まで何をしてた」実際、娘は私が妻の着替えとかをしている間中、こたつに入ってジグソーパズルをやっていた。それでもうコンサート行くのは中止だとまくしたて、髪のかたっぽにつけたゴムをはたき落とした。さらに1〜2発頭をはたいたかもしれない。娘は泣きながら、「ごめんなさい」を連発した。それで怒りながらも妻と娘を車に乗せて出発した。
今日は朝10時くらいに遅めの朝食を作り出した。前夜、久しぶりに自室でDVDを観たりしてほとんど明け方に就寝したので、睡眠時間は4時間くらいだっただろうか。スイミングスクールから帰ってきた娘と妻のために、冷凍食品2品とミックスベジタブル、ベーコン、玉葱を炒めて卵であえたスクランブルエッグ風のものなど。他にキャベツの味噌汁と納豆。作っては次々食卓に並べていく。最後に味噌汁の味噌をとき入れてと思っている時に、妻が何気に冷蔵庫に切ってある沢庵がタッパーに入っているから出してと言う。「今、手が離せないから後で」と言っても、妻はある種の執着心が強まっていて、一度言い出すと、何度も同じことを繰り返す。もう頭が沢庵頭になっているんだろう。で、その一言一言に大人気なくキレていく。
「作った料理が気に入らないわけか。だったら沢庵だけで食べればいいんだ」と今食卓に出したばかりの料理を下げて、妻の前には沢庵と納豆だけにしてしまう。妻は最初は抵抗していたが、その後は「すみません」を連発する。私は台所から妻に向かって、料理作ってもらっているのに注文が多すぎる。もう少しこっちが今なにをしているのかとか、そういうことを考えてみろ、みたいなことを何度も強い口調で言ってしまう。
しばらくしてから妻のおかずをまた食卓に戻してやる。しかしなんでこんな大人気ないことしてしまうのだろうとも思う。それに片麻痺で思うように行動できない、だからこそ人に頼らざるを得ない妻に対して、暴言を吐いたりしてしまう自分が情けなくもあるし、とにかくひどい人間だとも思う。それでもこうやってキレてしまう。いい加減一杯一杯のところにきている自分がいるということか。
ウィークディは日中は仕事、夜は娘を迎えにいく。最近はけっこう早く家に帰れるようにもなってきている。そうすると妻は夜の散歩に連れていけとも言う。それで30〜1時間くらいの散歩ということもある。土、日はどこかへ連れていけと言う。スーパーの買出しとかにもついてきたがる。彼女からすればウィークディは週2回のディケアにいく以外は家で一人でいることが多いから、休みの日は家族とおでかけして一緒に過ごしたいということなのだ。
でも、こっちは土、日くらいぐったり骨休みしたいと思う。それでなくてもたまっている家事仕事だって集中して行わなくてはならないのだから。妻が退院してからの6ケ月、なんとかしのいできているけれど、やっぱりそうとうにきているんだとは思う。最もこの程度のこと、仕事と家事やら介護やら子育てやらを両立させていくことなんて普通にやっている人たちだって沢山いるのだ。そして温厚で、奥さんに優しく、子どもにとっては良き父親であって・・・・・。自分がそんな人格者じゃないことが残念でならない。妻や子どもにとっても不幸なことだと思う。でもこれってどうにもならんという気もする。せめてはもう少し、自分自信の容量オーバーをなんとか小さく小さくガス抜きしてでもしのいでいこうとする不断の努力っていうところなんだろうか。
でもさあ、つくづく思う。俺ってもう少し温厚なタイプだったはずじゃないんだろうか。