妻の状況(2/11)

 今日は外食予定のため12時半頃に国リハへ。
 妻はいつものようにエレベーター前で待っていず、病室にもいない。ナースステーション前に戻ると見知らぬ女性と話をしていた。妻の会社の派遣社員で、現在妻の代わりに現金出納などをしている方とか。そこで少し話していると、今度は別の同僚二人が見舞いにいらっしゃってくれた。NさんとOさんという女性で、この二人は医療センターでも、またこの国リハにも一度きていただいている。9月に沖縄旅行した時も一緒だった。しかし入院してから3ケ月近くしても、こうやってお見舞いに来てくれるのは、本当に有難い。もし自分がこういうことになって何度も見舞いに来てくれる会社の同僚などいるかなと少し思ってもみた。多分いないな。
 妻は昼食をとっていなかったので、三人に近所のファミレスへ誘った。派遣さんは別に用事が入っているので辞退されたので、NさんOさん、妻と私と娘の三人で病院近くのファミレスへ行った。二人とも妻の様子を見て、だいぶ良くなったとしきりに言っていた。
 食事の最中、妻は何回か食べこぼしをしたり、口元にご飯粒つけたりで、それを横で口うるさく私が指摘しまくっていた。こういうのは、二人にはどんな風に移ったんだろう。妻にしてみれば、口角障害で口元の麻痺があるのだから仕方がないというところだろう。でも、食べこぼしについていえば、私には口元に痺れだけでなく、注意障害の影響が強いように思っている。見ていてもスプーンに名一杯ご飯を乗せる。健常者でも口元に運ぶには多すぎる量を乗せようとする。そしてこぼす。スプーンに食べ物を載せることにのみ注意がいき、こぼさないようにすることには注意がいかないということだ。食べ物を口にどんどんつめこむことにのみ注意がいく。すると咀嚼しているうちに食べ物が麻痺した側からこぼれだす。同時処理、スプーンに食べ物を載せることと、それをこぼさないようにすること、注意の転換、食べ物を口に運ぶことと、咀嚼すること、それらがうまく機能されていないのだと思う。だから、注意力を働かせるために横からあれこれ口うるさく指摘しまくることになるわけだ。注意障害はとにかく本人の注意力を喚起させ、常に自覚的に注意力を維持するように努めるようにさせていくしかないのだと思う。だから嫌がられても、やっぱり小言ジジイにならざるを得ないのではないかと思っているのだが。
 昼食後は二人を駅まで車で送り、その後はいつものように自宅周辺をドライブした。病院に戻ってからは、夕食まで妻とつきあい7時過ぎに病院を出た。妻と病室で話しをしている時に、妻の大便の話になった。妻は今は二日に1回くらい、浣腸して大便をしている。妻はそのうち浣腸のやり方も覚えてもらわないとと言う。妻にしてみれば、退院後は主たる介助者は私になるのだから切実な問題なのだが、私としては出来ればそれは勘弁という感じだ。そのことを冗談めかしていうと、なんとなく妻が泣きそうな雰囲気になった。
「情けない話だけどしょうがないでしょ、頼る人はパパだけなんだから。パパに嫌がられた私はどうしたらいいのよ」うるうるした目がそんなことを訴えかけているように感じたので、この話は無理やり打ち切った。「そのうち覚えるよ」
 妻が食堂で夕食を食べているのを外で見ていた時に、最近よく見かける初老の男性が話しかけてきた。よく見舞いにきている方だ。お話を聞くと、奥様が昨年の8月にくも膜下出血で倒れて闘病をされているという。国リハには1月に転院してきたのだが、ここでのリハで見違えるようになったという。まだまだ寝たきりで言語障害もあり、おまけに嚥下障害のため現在でも食事は喉にチューブを刺してとっているという。かなりの重篤なようだ。初老と見えたけど年齢を聞くと私よりも5歳年長。いただいた名刺には都内にある会社の総務部長とある。こちらも妻の病状とかを話した。最後にメルアドを交換した。ちょこちょことメールのやり取りとかを始めることになるかもしれないな。障害者の家族も病状、リハ、福祉サービスなどいろいろと情報交換をしていく必要もあるのかもしれないなとも思った。