府中市美術館に来ると、その後で少しの時間府中の森公園をぶらぶらと散歩することがある。美術館自体が公園の中にあるようなものなのでその流れでということだ。
もっともたいていの場合、車を美術館地下の身障者スペースに止める。その場合は美術館で絵を観終わったらすぐに車を出さなくてはならない。そういうときはそのまま帰るか、あるいは短時間でも車を公園の有料駐車場に移動させる。
今回はというと、最初から公園の駐車場の方に車を止めた。日曜日ということで駐車場は満杯かと思ったのだが、運よく待つことなく入れた。なのでまず美術館に行く前に少しだけ公園内を車椅子押して散歩した。
11月にしては異様なくらい暖かい気候である。園内では子ども連れのファミリー、自分たちのような高齢者カップルまで、みな思い思いに自分たちの時間を過ごしている。シカゴではないが「Sunday in the park」といったところだろうか。
園内を歩いているとなんかポスターみたいなものがいくつか掲示してある。それによるとどうも10/16~11/5まで夕方から園内がライトアップされるのだとか。日曜のその日が最終日だ。妻には「なんかライトアップがあるみたいだから、あとでまた散歩しよう」と話してから美術館へ入った。
美術館は閉館の5時までいた。それから公園内を歩く。ライトアップは5時半からである。秋の日はつるべ落としではないが、次第に暗くなってくる。例によって夕方の景色は小林清親風光線画風である。
そしてライトアップが始まる。まずは噴水から。
まあ規模的にはさほど感はある。森林公園の紅葉見ナイトのライトアップなどからするとスケール感はない。でもご近所にこんな風に樹木があり、気持ちの良い並木道がある公園がある。二週間の限定とはいえ夕暮れ時にはライトアップもされる。府中市民は幸福だなと思ったりもする。
美しいインド細密画を観て、それから秋の夕、ライトアップされた並木道を歩く。ちょっとした幸福感のある日曜日だったような気がした。