『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

https://www.netflix.com/jp/title/81064867

 これはNetflixで観た、多分。どうも最近はアマプラとNetflix、どっちで観たのかがあやふやなことが多い。それもつい昨日とかそういうごくごく至近のことでも判らなくなる。なので多分としか。

 1970年前後のハリウッドの雰囲気、チャールズ・マンソン・ファミリーによる映画女優殺害などを題材にした映画。旬の過ぎた西部劇のテレビ俳優(レオナルド・デカプリオ)とその友人のスタントマン(ブラッド・ピッド)のメインにその隣人としてロマン・ポランスキーシャロン・テートを配する。虚実とりまぜた物語の終焉は、マンソン・ファミリーによる襲撃とその意外な結末。

 チープでがさつな映像とストーリーの展開は、まさにタランティーノの真骨頂というところ。本作はタランティーノの9本目の監督作品。

 当時のハリウッドの撮影所の雰囲気がうまく描かれている。そしてテレビの西部劇スターの凋落と彼がイタリアに出稼ぎに出てマカロニウェスタンで成功する様が描かれる。それはそのままクリント・イーストウッドらの当時のエピソードでもある。そして頻繁に繰り広げられるプレイボーイ・パーティのバカ騒ぎ。そこにはセレブが多数参加する。そこにはやはり実在のスティーブ・マックウィーンも。

 マックウィーンはこの映画の主人公である凋落したテレビ・スターとは逆に、テレビから映画に進出して大成功する。そういえばデカプリオ役の過去のスターが『大脱走』のスクリーン・テストを受けているシーンも挿入され、クスリと笑わせる。俺がマックウィーンの代わりに映画スターになっていた可能性があるんだというくすぐりだ。

 シャロン・テート役のマーゴット・ロビーはすでに『スーサイド・スクワッド』、『アイ・トーニャ』に出演して売り出し中だったが、この映画でも新進気鋭のシャロン・テート役を見事に演じている。この映画、実は彼女でもっているような感じがする。明るく陽気な売り出し中の女優役、でもその実人生の悲劇的結末、それをこの映画を予備知識をもって観る誰もが知っている。だからこそ陽気なアメリカン・ガールの姿が痛々しくもある。

 この映画はレオナルド・デカプリオとブラッド・ピッドという二大人気俳優の共演作なのだが、どうしてもマーゴット・ロビーが全部おいしいところもっていってしまったような印象がある。まあシャロン・テート役というのはある意味インパクトを含めておいしい役柄だったのかもとも思う。

 もっともデカプリオもいい味出している。ただし彼の雰囲気は往年のアクション俳優という風には見えない。なんかこうすでにジャック・ニコルソンみたいな雰囲気である。そのへんがこの映画のタランティーノの安っぽさ(誉めている)とややミスマッチのような気もする。それに対して、ブラビはどうか。もうこれはタランティーノの世界たいへんマッチしている。昔からオバカなマッチョ役をやらせたら最高なのがブラビである。絶対にないだろうけど、『パルプ・フィクション』をリメイクすることになったら、トラボルタ役はこの人にやらせたい。

 という点でこの映画、主役のデカプリオは確実にブラビとマーゴット・ロビーに食われたような印象がある。そのくらい二人の存在感が際立っていたか。

 この映画は悲劇的な結末を意外な形に変えてしまった。それが映画の面白さにいい結果を間違いなくもたらしている。この映画は1970年前後のアメリカ、ハリウッドのお伽話、サイドストーリーなのかもしれない。

「昔々、ハリウッドで・・・・・・」