健康診断-成人病検査

 都内の医院で年に一度の成人病健診を受ける。

 ここは去年も受けたところ。もっというと、勤めていた頃にずっと会社にきてもらっていたクリニックである。毎度、都内からレントゲン車を仕立てきていた、午前中に全従業員の健診を行う。毎年、7月の恒例の行事だった。

 会社を辞めてからは、地元の病院にということで2021年は川越の病院で健診を受けた。去年も同じところでと思ったのだが、年内の予約はいっぱいと断られた。やむなく勤めていた頃にやってもらったクリニックに連絡すると割とすぐに予約がとれた。そして今回も連絡すると最短で二週間後くらいということでお願いすることにした。

 都内まで健診で行くというのもちょっとばかりしんどい部分もあるにはある。でも今かかりつけの医院はお茶の水にある健保の健康管理センターである。三か月に一度の糖尿病の通院、あとは定期的に歯科、皮膚科などにかかっている。それを考えれば、なんとなく通院は都内みたいなこともある。

 今回の健診は10時半の指定だったが、少し早く家を出たのと、電車の乗り継ぎがよかったみたいで10時ちょい過ぎは着いた。最初、受付で10時半のご予約なのでお待ちいただきますみたいな案内をされ、こっちが早く来たのでかまいませんみたいなやりとりをした。でも、15分過ぎには検査を開始してもらえた。

 検査の内容はここうん十年まったく同じである。今回はというと、まず最初に心電図と腹部エコー、次に医師の問診、それから採血、聴力検査、眼底検査。最後に胸部レントゲンと胃のバリウム検査。とにかくスムーズだった。

 それでも時間は1時間と少し。クリニックを出たのは11時半過ぎくらいだっただろうか。これで二週間後くらいに結果が送られてくる。毎度のことだけど、幾つかの項目で再検査などになる。まあ糖尿や高血圧、コレステロールなどは治療中なので要観察扱いか。

 以前、健診では心電図で何度かひっかかったこともある。不整脈とかが多いのだが、一度心筋梗塞をやった跡があるという結果もあった。そのときだったかよく覚えていないけれど、再検査で心臓のCT検査を行ったこともある。結果、異常なしで検査結果をもとに医師からは、「むこう5年くらいは心臓は大丈夫でしょう」とお墨付きをもらった。あれはたしか会社を辞める2年くらい前だっただろうか。

 さて、今回はどんな結果になるのか。まあそれ以前に10月中旬に前立腺の手術もあるので、健診の結果よりもそっちの方がずっとひっかかっている。毎年の健康診断、とりあえずこれは身体の状態のチェックのために必要なのだろう。

 何度も書いていることだが、実は長い人生でまだ一度も入院をしたことがない。手術も去年の白内障手術、そして今回行う前立腺の二回だけ。そしていずれも日帰り手術だ。そのことを思えば、多分これまでは健康な方だったのだろうとは思う。病気についてはこれはもう100%蓋然性の問題であり、確率的に罹患することよりも、罹患するかもしれないし罹患しないかもしれないということだ。

 ガンは成人病として、今では2人に1人が罹るといわれている。50%の確率なのだが、いつまでたっても50%の側にいるということがあり得る。病気は死と同様に万人にもれなく訪れる。ただ病気と死の決定的に異なるところは、死は必ずやってくる。でも病気知らずのまま老衰だの事故などで人生を終えることもありえるのだ。

 高齢化社会の現在、男性の平均寿命は81.05歳。それ以前に健康寿命でいられるのは後期高齢者となる75歳あたりまで。後期高齢者まであと8年、平均寿命までは14年。それまでの人生を考えれば、完全に第4コーナーを周っているのだろう。できれば入院だの、ヘビーな手術や闘病などを経験せずに、ぽっくり逝きたいとそんなことを考える。まあこれも確率よりも蓋然性の問題だ。

 しかし残りの人生、改めて考えると残された時間はけっこう少ないものだなとも思ったりもする。老人にとって健康診断を受けるということは、いずれやってくる死をけっこう強烈に意識することなのかもしれない。少なくとも自分の場合はそうだ。