格安ワイヤレスイヤホンを買ってみる

 暇という訳ではないんだけど、つい無駄買いをしてしまう。

 先日もTwitterかなにかで入ってきた中華の格安ECサイトでつまらないもの買ってしまった。

 Temu japan(テム・ジャパン)という何やら怪しげサイト。

Temu Japan | Explore the Latest Clothing, Beauty, Home, Jewelry & More

(閲覧:2023年8月14日)

 少しググるアメリカでも2022年にサービス開始してから拡大を続けているという。ウリはとにかく「格安」、「安さ」。まあ「安かろう悪かろう」なんだろうが、それでもある意味「安さは正義」であるとも。

 いくつかTemuについて言及した記事を読んだりしてみる。

 

中国発の格安越境EC「Temu」が日本上陸 赤字覚悟で強気の拡大路線 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア (閲覧:2023年8月14日)

 

中国発、米国1位アプリ「Temu」が日本上陸。驚愕の低価格実現の背景は|株式会社カウシェ (閲覧:2023年8月14日)

 

 中国発の格安ECサイトはすでにSHEINが成功している。とはいえ現在のところTemuのおそらく利益度外視の格安販売は、赤字を垂れ流しているのだろうということは想像に難くない。紹介した記事の中にもそうした言及がある。

しかしこれはあくまで流通取引総額。儲けの部分はというと、実際には流通取引量が上がれば上がるほど、赤字を出している状態です。
とある中国での記事によると、Temuは米国市場に参入するために、1回の注文につき平均30ドルの損失を出しているとも言われています。

今の巨大な赤字は、サプライチェーンを作り上げるための投資金額で、これが出来上がって初めて利益を手にする。

 

 赤字度外視で投資を行いサプライチェーンを構築し、顧客を取り込んでいく。これって多分、Amazonが成功したときのパターンのはず。Amazonは当初の書籍通販から一般物販にシフトしていく過程で全米各地に物流倉庫を設置していった。とにかく利益、増資、借入をすべてを設備投資に回して巨大な物流網—サプライチェーンを構築していった。気がつけば、先進諸国各国で圧倒的なシェアを得る巨大なECサイトとして君臨している。

 日本に上陸した時期のAmazonは世界的に拡大していく最中だったが、その財務的にはほとんど利益が出ていない状態だったともきく。ビジネス誌などでも「ペゾフの野望は潰えるのでは」みたいな悲観的記事をよく見た記憶がない訳でもない。Amazonが当初行っていた、配送料無料戦略も顧客囲い込みのための戦略だったのだろうと想像できる。

 実際、囲い込みが成功した現在となってしまえば、Amazonプライムの会費も簡単に値上げできる。値上げされるくらいならプライムやめるとはならない。消費者はその利便性にはまっているわけだから。

 

 とはいえ中華系の格安ECサイトが今後成功するかどうかは判らない。でも徹底したITの活用と巨大サプライチェーンの構築は、そう簡単に破綻するとも思えない。なんといっても世界第二の超巨大国家とあの人口がバックにあるのだから。

 しかし今後の20~30年のスパンでいうと、こうした新興ECビジネスは、次第に中国、そしてインドにシフトしていくのかもしれないなと思ったりもする。Temuも物流倉庫は中国本国にあるようだが、顧客への対応オフィスはアメリカのボストンあたりに置いているようだ。でもデータ管理はインドとかにあってもおかしくない。そういうワールドワイドで分散処理されるような状況も出来ているのかもしれない。まあ適当な想像だけど。

 

 まあ余談のような前置きが続いてしまったけれど、格安イヤホンの話。

 SNSで流れてきたのがこれ。

 

 レノボのワイヤレスイヤホンが135円!

 しかも送料無料!

 なんですかこれ、みたいな感じだ。これはちょっと怪しい、怪し過ぎる。

 そもそもLenovoって、昔のIBMで中国が買収したあれのはず。今でもLenovoのパソコンとかは普通に使っている。そのLenovoがワイヤレスイヤホンなんか作っていたのか。初耳である。

 少しググってみるけど、あまり情報は少ない。いくつか見つけたレビューをみると、格安イヤホンであまり音質は良くないとか。

 この「135円」イヤホンも通常では大体1800円前後で販売されているみたい。ただしAmazonとかでは扱いはない。

 あまりにも安いのでかなり不安ではあるけど、ここはまあ人柱的にということでポチってみる。ただし初回注文なのでクレジット登録はやめて、コンビニ支払いを選択。

 コンビニ支払いの場合はというとメールで支払いコードが送られてくる。コンビニによってやり方は違うようだけど、一番近所にあるファミマを使ったのだが、この場合はというと備え付けのコピー機でこの支払コードと登録した電話番号を入力すると、支払い用のバーコードが印字されたレシートが印刷される。それをもってレジで支払いを済ますというもの。

 

 その後は支払い完了のメールがくる。そして気長に待つ。ネットの記事とかには中国からの発送なのでいつ届くか判らないなんて情報もあったけれど、だいたい5日くらいで届いた。

 

品物はこちら 

開封

実機

Lenovo XT92 TWS ゲーミング イヤホン 低遅延 Bluetooth イヤホン - 完全な機能/ユーザー ガイド (閲覧:2023年8月14日)

 

 使ってみると、まあ普通に使える。音質はというとこれもまあ普通。高いイヤホンを持っていないので比較はできないのが残念。持っている中で比較的高目のオーディオテクニカとかと比べるとやや劣るかなとは思う。その他持っている中華系の格安イヤホンと比べるとどうだろう。モノによっては高音がやたらシャカシャカ突出してたり、低音がまったくダメみたいなのが多いけど、それから比べれば中音域でまとまっているような感じ。まあ普段使いではとりあえず遜色なく使えそう。

 そういう意味では135円はえらくコストパフォーマンス高いかもしれない。

 格安でまあまあそこそこの買物できたので、メデタシ、メデタシか。

 実はそうではない。

 せっかくなのでもう一つ格安のイヤホンを注文しました。
 同じレノボのXT88というの。こっちは1513円。

 

 でもって、こっちはというと左側から音が出ない、反応しないという初期不良品。結局こういうオチか。しかし135円が普通に使えて、1513円がダメというのもなんとも皮肉。まあ、お勉強代ということでこれは返品せずに捨てちゃうかとも思った。返品とか返金とか面倒臭い感じもしたから。

 それでもアプリのほうから初期不良で返品と連絡すると、すぐに返金処理が行われて1513円がクレジット扱いで戻ってきた。このへんはとにかく迅速、もの凄い迅速。しかも不良品は返送不要とのこと。

 まあそのままアプリ内でクレジットされた1513円をそのまま放置するのもなんなので、同じものをクレジット金額使って再注文。あとはいつ届くか。

 しかしこんなことやっていては、確かに一件の注文で30ドルなにがしの赤字というのも納得できる。少なくとも自分の注文に関していえばまったくの赤字である。これもまた顧客の取り込みとサプライチェーン構築のための設備投資と、そういうことなのでしょう。

 今後、このECサイトのリピーターとなるかどうかは判らない。まあAmazonの利用で満足しているし、歳のせいかなんとなくモノへの執着も減退気味ではあるから。とはいえ便利は便利なので、適度に利用するかもしれない。

 中華系ECサイトはプライバシーが抜き取られるとか、諸々心配という意見ももちろんあるとは思う。でも、例えばこのTemuもアメリカですでに相応のシェアを拡大している、ある意味きちんとしたECサイトではあるのだから、そこはあまり心配していない。なんなら自分の個人情報なんて、AmazonGoogleMicrosoftに全部握られているのは多分間違いないのだから。米国系は許せても中華はダメというのも、ちょっと微妙な気もする。

 とりあえず以上、安物買いの体験談でした。