西洋美術館常設展 (4月6日)

 西洋美術館常設展は軽く流すつもりだったが、初展示作品が何点かあり、こんなものも持っていたのかとちょっとした驚きも。

セザンヌ

《散歩》 ポール・セザンヌ 1871年 油彩・カンヴァス 井内コレクションより寄託

 セザンヌで女性二人の肖像画っていうのも珍しいかもしれない。そもそも女性を描いた作品って、妻のオルタンスのものばかりのはず。この絵もオルタンスと誰かかもしれない。この《散歩》-The Walkもネットで検索すると、Private collectionとしか出てこない。

 全体的に暗く厚塗り的で、まだ自身のスタイルを確立する以前のものという感じがする。

ピカソ

《小さな丸帽子を被って座る女性》 パブロ・ピカソ 1942年 油彩・カンヴァス 
井内コレクションより寄託

 これも初めて観る。1942年制作ということで、モデルはドラ・マールあたりだろうか。洋服の緑、椅子の紫など、色彩的にも美しい。これも個人コレクションとして埋もれていたということか。しかし上のセザンヌとこの作品と井内コレクションよりの寄託だという。井内氏って誰、多分相当な資産家なんだろうなと適当に想像している。

バスク

《ハンモック》 アンリ・ルバスク 1923年 油彩・カンヴァス 松方コレクション

 ルバスクは一般的には新印象派のジャンルに入る。明るい色遣いなど割と好きな画家の一人。画風も当初は点描画法だったがじょじょに華やかな色遣いに変わった。丸顔で可愛らしい顔立ちの娘マルト・ルバスクをモデルにした絵を何点も残している。この絵のモデルもマルトかもしれない。

 しかしこの作品も松方コレクションだというが初めて観る作品。ブルターニュの企画展でも初めて観る松方コレクション作品が多数あったけれど、その全貌を我々が知る日が来るのだろうかと思ったりもする。

ストリンドベリ

インフェルノ/地獄》 アウグスト・ストリンドベリ 1901年 油彩・カンヴァス
 2022年度購入

 あのスウェーデンの文豪ストリンドベリの絵である。文豪は画家でもあったのかというちょっとした驚き。これは2022年度新規購入品のようだ。購入金額等を検索したが独立国立美術館のHPで美術作品情報のところにはまだ情報がアップされていない。

 ちなみに2021年度購入のカッレラの《ケイテレ湖》の情報は掲載されていて4億7209万円とのこと。まあどうでもいい話ではあるが、下世話な人間はどうしても金額とかに興味がいってしまう。

https://www.artmuseums.go.jp/media/2022/08/nmwa_r03.pdf 

(閲覧:2023年4月10日)

 ストリンドベリについては絵を描いていたことすら知らなかった。というか名前は知っているが多分作品も一つも読んでいない。というか今、文庫とかでストリンドベリの作品を読むことが出来るのか。戦前は岩波文庫でけっこう出ていたとか、岩波では全集も出ていたようだけど。

 一応、詳しいキャプションがあったので引用させていただく。

スウェーデンを代表する劇作家・小説家であるストリンドベリは、執筆業の傍らきわめて個性的な絵画作品を生み出しました。今日それらは、絵具の物質性を強調した大胆な描法とその表現性ゆえにしばしば抽象表現主義の先駆として評価されています。本作は彼の代表作のひとつです。洞窟らしき開口部の奥には嵐が混沌と吹き荒れ、周囲に散らされた生々しい絵具の赤は血の跡を思わせます。この絵の制作当時、作家は結婚生活の破綻に起因する精神的な危機に瀕していました。主題の着想に際しては、ダンテの『神曲』「地獄篇」を参照したのでしょう。同時期に書かれた名高い戯曲『夢の劇』においても、洞窟のモティーフは重要な役割を果たしています。

(作品解説より)

ニュースリリースhttps://www.nmwa.go.jp/jp/information/pdf/20230331_press.pdf

 (閲覧:2023年4月10日)