9時から5時まで

9時から5時まで | Disney+  (閲覧:2023年3月8日)

9時から5時まで - Wikipedia (閲覧:2023年3月8日)

9 to 5 (film) - Wikipedia   (閲覧:2023年3月8日)

 「フォードVSフェラーリ」に続けて観た。1980年制作の懐かしい映画だ。この映画は公開当時に観たし、その後もレンタルビデオで観たりもしているけど、今世紀に入ってからは多分一度も観ていない。なのでおおよそ20数年ぶりの再見だ。

 しかし面白い。職場での女性差別働き方改革という、今現在にも通じるテーマを徹底したギャグ要素満載で描く上質コメディ。主役の女性大スター三人組の演技合戦とともに見せる。深夜の二本立てなんて久々だけど、なんていうか一気見してしまった。

 夫の浮気から離婚することになって働き始めた控えめな主婦役をジェーン・フォンダが。職場を実質的に切り盛りするのに、昇進も昇級も男性たちが優先され、それでも腐ることなく働いているシングルザーのキャリア・ウーマン役をリリー・トムリンが演じる。しかも彼女の上司たちは、みんな入社時に彼女が仕事を教えた者ばかり。そして部長の秘書役を演じるのは当時すでにカントリ・ミュージック界ではトップ・シンガーだったドリー・パートン。彼女のセールスポイントである豊満なバストがストーリー展開のなかで効果的に活かされている。

 今となっては彼女の豊満なバストの扱いはちょっとNGかもしれない。初対面でジェーン・フォンダが思わず自分のスレンダーな胸を見てしまうシーンはかなり可笑しい。ドリー・パートンのバストのインパクトは男性だけでなく、女性にもかなり強烈なんだということが判ってしまうカット。どうでもいいが、割とつい最近までドリー・パートンをバートンと覚えていた。まあそういうものだ。

 そして三人のボス=上司役を演じるのは、ダブニー・コールマン。この上司がもう最悪、セクハラ、パワハラ、部下の成果を横取りするわ、商品の横流しで私服を肥やすわと、とにくか最悪上司の典型として描かれている。

 物語はその最悪上司の仕打ちで頭にきた三人がバーで意気投合するところから始まる。それから自宅でマリファナ・パーティーをしてそれぞれが上司をどうやって殺害するかを語り合う。そこでそれぞれの妄想がシーン化される。

 ジェーン・フォンダはサファリ・ルックのハンターとして上司を追い詰める。ドリー・パートンカーボーイ・スタイルで牛を追い込むようにして。

 傑作なのはリリー・トムリン。なぜかファンタジー調で白雪姫に扮して、上司に毒を盛り、高層階の窓から突き落とす。なぜかこのシーンには実際の「白雪姫」に出てきたディズニー・キャラクターの動物たちがアニメで共演する。今だったら、ポリコレ厳しい中でディズニーがこれを許すかどうかちと微妙ではあるけど、そのへん含めてDisney+で配信されているということなのかもしれない。

 物語はこのリリー・トムリンの妄想が半ば現実化する。彼女が上司のコーヒーを入れるときに間違えて殺鼠剤を入れてしまう。幸い上司はコーヒーを飲んではいなかったが、転倒して病院へ運ばれる。そこで三人は上司が死んだと思い込み、間違えて死体を病院から略奪したり。

 そのてんやわんやの後、上司はリリー・トムリンが自分を毒殺しようとしたことを知り、そのことをネタにして秘書のドリー・パートンを誘惑する。上司は彼女の胸にぞっこんなのである。ドリーは誘惑をはねのけて逆に上司を縛り上げてしまう。そして三人は上司を自宅に監禁する。その間に上司の横領の証拠を見つけ出そうとする。

 上司を監禁中、秘書のドリーはあたかも上司がいるように仕組むわ、リリー・トムリンは社内改革を実施するわで、けっこうハチャメチャだ。しかしそこで行われる社内改革は今現在でもかなり先進的で、社内託児所、男女同一賃金、フレックス制、ジョブ・シェアリング・プログラムなどにより、従業員の好評を博す。そして業務の効率化を20%以上もアップさせる。それらはみな悪徳上司によって制限を加えられていた制度でもあったのだが。

 そして上司の横領の証拠が揃う間際、上司は長期旅行から帰ってきた妻によって救われ、上司は横領の事実を隠蔽し、自分を監禁した三人を追い詰める。そこに現れるのは・・・・・・。

 男性が優先され女性が差別される職場。社内託児所やフレクッス制、午前、午後で仕事をシェアしパートタイムで働けるなど、女性が家事や育児をしながら働けるシステムの導入など、今でも大企業などに一部で導入され始めているような先駆的な制度など、女性の社会進出を後押しするようなことが次々と出てくる。そしてそれを押しとどめようとする男中心の職場社会。パワハラ、セクハラを含めて今に繋がるというか、この映画が公開された1980年から43年、世の中はあまり変わっていないということかもしれない。少なくとも日本においては。

 この映画は主役三人の演技、魅力が満載である。とにかくジェーン・フォンダは美しく、リリー・トムリンのブラックな笑いを醸す演技。リリー・トムリンはもともとスタンダップ・コメディアン(コメディエンヌ?)出身なので、この手の演技はお手の物かもしれない。そしてドリー・パートンの豊満な肢体=バスト!。

 この映画の公開時、彼女たちの年齢はどうだったのかがちょっと気になったり。

ジェーン・フォンダ 1937年生 公開時43歳 現在86歳

リリー・トムリン  1939年生 公開時41歳 現在84歳

ドリー・パートン  1946年生 公開時34歳 現在77歳

 ジェーン・フォンダが一番上なのか。リリー・トムリンはやや老け顔なので、彼女が一番上のような感じもしたのだが。この二人はNetflixの人気番組「グレイス&フランキー」で共演している。2015年から始まったこのシリーズはシーズン7まで続いている。このドラマはお互いの夫たちが、実はゲイで離婚して一緒に棲み始めるという奇抜なシチュエーションのお話。シーズン1と2あたりを見たが痛々しいけど笑えるというような感じだった。

 しかし1980年前後のフェーン・フォンダは多分彼女のキャリアの中で最も輝いていた時代だと思う。この時代の彼女の主演作をリストにすると、いかに凄い仕事をしていたか、そして中年女性の美しさ、魅力に溢れていたことが判る作品に多数出演している。もちろん演技力にも磨きがかかっていた。

1977年 「ジュリア」 アカデミー賞主演女優賞ノミネート

1978年 「帰郷」 アカデミー賞主演女優賞受賞

1979年 「チャイナ・シンドローム」 アカデミー賞主演女優賞ノミネート

    「出逢い」

1980年 「9時から5時まで」 

1981年 「帰郷」 アカデミー賞主演女優賞ノミネート

 彼女は現在86歳。一番美しい年齢の取り方をしている。今でもその年齢としては美しく魅力的だ。2017年に公開された、これもオールドネーム、ロバート・レッドフォードと共演した「夜明けまで」も素敵な映画だった。ノーセックスで二人がベッドを共にして語り合う。そういう老いらくの恋もあっていいんだと思わせる映画だった。

 改めて思うけど、「9時から5時まで」は1980年制作。43年前の映画だけどけっして古びていない。テーマ的にも今でも全然イケているし、十分楽しめる映画だと思う。