ファラオ・サンダース死去

 朝刊を開くとファラオ・サンダースの訃報記事が。

米ジャズサックス奏者のファラオ・サンダースさんが24日、ロサンゼルスで死去した。81歳だった。所属レーベルが明らかにした。

南部アーカンソー州リトルロック生まれ。ジャズの巨匠、故ジョン・コルトレーンのグループに参加し、コルトレーン晩年の名盤「ライブ・イン・ジャパン」(66年)で猛烈なソロ演奏を披露。67年のコルトレーン死去後はその後継者と目され、フリージャズの先駆者、故オーネット・コールマンから「おそらく世界最高のテナー奏者」と評された。

 淋しいね。コルトレーン直系のサックス。基本、フリージャズ系だけど、70年代後半から80年代にはオーソドックスなものとか、どこか流行りのメロー系までなんでもこなしていたような。でも、ファラオはファラオだったか。

 最初にこの人を知ったのは当然のごとくコルトレーンとの共演したもの。多分、兄が持っていたアルバムで聴いたんだと思う。コルトレーンの「マイ・フェヴァリット・シングス」といえばニューポートのやつみたいに思っていたから、随分雰囲気が違うなと思ったものだ。そこにファラオの「ギョエ、ギョギョエ」の衝撃だ。当時、中学生だか高校生の自分にはインパクトがあったな。

  その後はけっこう後追いでこのへんを聴いていたような。随分、大人しくなったファラオみたいな感じで。

 

 このアルバムにも収録されている「You've Got To Have Freedom」がいろんな若いアーティストにサンプリングされてリヴァイバルヒットしたことなんかを後付けで聞いたことがあった。

 2010年前後に、ヒップホップも少し聴いてみようかと少しTSUTAYAとかで漁っていた時期があった。たまたまメロー系ヒップホップのアルバムを聴いていたら、いきなりこれファラオじゃないかと思った。けっこういい感じでエモーショナルな感じで、なるほどジャズはこんな風に消化されているのかと思ったりもした。

  

 

 でも、「You've Got To Have Freedom」はやっぱりこうでなくてはとは思った。

 さらにいえば、よりファラオらしいのは絶対こっちだとは思う。

 しかし自分が知っているジャズのオールド・ネームがどんどん鬼籍に入っていく。存命な人って誰がいるんだろう。ちょっと思いつくとこんな感じだろうか。

ベニー・ゴルソン(93歳)
ソニー・ロリンズ(92歳)
ウェイン・ショーター(89歳)
ロン・カーター(85歳)
ハービー・ハンコック(82歳)

 一番ジャズ・ジャイアント的にいえばロリンズなんだろうが、ベニー・ゴルソンの93歳も驚く。確か彼は数年前にも来日してブルーノートとかそのへんでライブやってくれたんじゃなかったか。あとファラオ・サンダースがハンコックと同世代で年下っていうのが、ちょっと意外な感じがする。自分の中ではなんとなくハービー・ハンコックはマイルスのバンドの小僧っ子っていうイメージがあるんだな。

 まあいずれにしろ、マイルスやロリンズ、コルトレーンといったジャズ・ジャイアントの後に出てきた人たちも、ほとんどが鬼籍に入っていて、存命な人は数えられるくらい。それもみな80代と来ている。そりゃ中学生くらいでジャズを聴き始めた自分が遠に還暦を超えるのだから、それは致し方ないことだろう。

 20世紀がどんどんと遠くなっていく。そして活躍していた人々、自分の記憶に残る人々が一人ずつシーンから消えていく。淋しい、淋しい。

 ファラオ・サンダースの冥福を祈ります。