「ムーンフォール」を観る

 基本ミーハーなので、テレビとかで大々的宣伝され自宅で気軽に観ることができるということでつい。

 ディザスター(惨事)映画の巨匠による文字通り大惨事映画。

 ググって出てくるレビューも酷評だらけである。

ローランド・エメリッヒ監督最新作『ムーンフォール』レビュー:非凡なアイデアをきわめて凡庸に描いたディザスタームービー

みんな劇場で観たがってるんだぞ!!!! 『ムーンフォール』が劇場公開やめてアマプラ配信へ | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

 後者の「ぶっちゃけシネマ人生一直線」は的を得ていると思う。

詰めの甘いトンデモストーリー、ドラマ性薄めの人間描写、ご都合主義な展開上等

 しかし 1 億 4,600 万ドルの予算に対して、全世界でわずか 5,900 万ドルの興収 (広告費と配給費は含まれてない)となれば、映画制作的にも一大惨事映画といえるかもしれない。

 まあよくも悪くもというか、ここまで見事にご都合主義で130分展開するというのも凄いというか。映画としては割と短い時間なのでさすがにダレ場はほとんどない。逆に130分の長さでダレてたら娯楽映画としては成立しないかもしれない。

 とはいえ良い点もある。アフリカ系女性として初めてアカデミー賞主演女優賞を受賞したハル・ベリーが出ている。チョイ役で名優ドナルド・サザーランドも出ている。マイケル・ペーニャも出ている(最初、誰だかわからんかった)。

以上。

 月が軌道を外れて地球に激突する(ムーンフォール)という設定。さらに月は人工物だったという壮大な陰謀論的展開。AIの集合体らしい邪悪なエイリアンらしきなにか、などなど。地球を救うために立ちあがったのは首になったNASAの宇宙飛行士、宇宙飛行士上がりの高官、そして陰謀論を展開するトンデモ自称科学者の三人、わずか三人である。と、ここまでリアリティを無視していいのかも思ったが、もともとエメリッヒ映画にリアリティなどあったかどうか。

 SF映画は壮大な非リアテリティを細部の徹底したリアリティで補うことで成立することが多いが、この映画は諸々細部のリアリティなどに拘っていない。そもそも大惨事を2時間の尺に収めるのだが、「神は細部に宿る」などと寝言を言っている場合ではないというところか。

 この映画、多分中国資本が相当入っている。日本での配給権は木下グループのキノフィルムが取得していたようで、きちんとクレジットされているのだが、それも手放してAmazonが買いとったということのようだ。まあ劇場で興収得られるかといったら微妙過ぎる。とはいえこの映画はディザスター映画なので大画面で観ないと価値が減じる部分もあるだろう。自宅でも50インチ以上の画面がないと。とはいえ自室の32インチで観ているのだけど。まあレビューにもあったかと思うがこの映画はスマホタブレット、ノートパソコンとかで観るのはちと厳しいかもしれない。

 多くの災害映画、エメリッヒ作品がそうであるように、この映画は2時間なりを刹那的に楽しめばいいというタイプの映画。劇場だったら、観終わってちょっと映画について語り合って、翌日か翌々日にはもう忘れてる。そういうタイプの映画だ。「まあまあ面白かったけど、ちょっとね」と含み笑いしてみたいな。

 タイトルの「Moonfall」は中国語だと「月落」あたりか。そこがちょっと気になる。