スターウォーズ/フォースの覚醒


スター・ウォーズ|STAR WARS|
 話題作なんで観に行きました。家族三人でレイトショーを。
 元々実はこのシリーズの大ファンである。第一作「エピソード?新たなる希望」以来かかさず劇場で観ている。一度としてかかしたことはない。ジョージ・ルーカスについていえば、「アメリカン・グラフティ」を高校生の頃に試写会で観て以来のファンである。コッポラ門下の天才監督として出現し、第二作でこのスターウォーズシリーズに着手した。監督としては6作(うち4作がスターウォーズ)という寡作の人ではあるが、製作総指揮によりスピルバーグインディ・ジョーンズ・シリーズを撮らせ大ヒットをとばしている。単純な活劇もののようで奥が深いという印象である。スピルバーグ同様、映画への造詣が深く、様々な映画へのオマージュを感じさせる。それは商業映画デビュー作でもある「アメリカン・グラフティ」でも随所に垣間見える。
 今回の「フォースの覚醒」はアナキン三部作の最後「エピソード?シスの復讐」から10年ぶりとなる。かくも長い歳月を要すシリーズも凄いと思う。当初アナキン三部作で完結ともいわれていたが、2012年にルーカスフィルムをディズニーが買収したことにより、シリーズは当初予定されていた9部作に戻り、今回久々の新作となった。
 観た印象を一言でいえば、シリーズ最高傑作といっていいくらいの出来栄えとなっていると思った。本当に久々の新作のため相当に甘い採点になっているかもしれないし、贔屓の引き倒し的な部分もなきにしもだが、ダレルこともなくグイグイとひっぱっていくストーリーの力を感じた。
 さらにいえば帝国軍の戦闘員であるストームルーパーたちもヘルメットをとれば生身の人間であることが本作で始めてわかった。これまでほとんどロボットのごとくに攻撃のための手足となっていた彼らにも殺戮に対しての煩悶があることなどが面白かった。観ていてこのストームルーパーを主人公にした映画を作っても面白いのではないかとさえ思った。自分の妄想では、一人のストームルーパーにスポットを当てる。ヘルメットをとったそのストームルーパーは若い女性である。彼女は自分の任務、繰り返させる出動と、命令ひとつで住民や敵軍を殺戮することにじょじょに疑問をもつようになる。さらに自分の出自、おそらく彼女もまたどこかの惑星から連れ出されて兵士となっている、小さな頃のかすかな記憶や望郷の念を抱いたりする。しだいに彼女はアイデンティティの崩壊をきたするようになる。そして・・・・・、みたいな話だ。
 まあこれは余談のこと。
 今回、主人公を女性においたのも面白い。主人公レイを演じるデイジー・リドリーは大変魅力的かつタフな女優だ。大成すると思った。逆に今回シリーズからおそらく悪の主役となるであろうカイロ・レンについては、演じているアダム・ドライバーにあまり魅力を感じない。なにか間の抜けた青春スター的な雰囲気だ。現時点の印象ではミスキャスト的である。
 ストーリー展開は速く、このシリーズがみなそうであるようにご都合主義のオンパレードだが、細部のリアリズムがうまく機能しているので、ご都合主義が鼻につかない。またアナキン三部作で感じたようなダイジェスト感、とにかく物語を2時間なりの枠に収めるために、どんどんと話を進めていくため、なにか要約版のような印象を持ってしまったのだが、今回の作品にはそういうものはなかった。
 おそらく今後はレイの出自がキーとなっていくのだろうが、特に修行をすることもなくカイロ・レンと互角に戦う能力、フォースの力からおそらくルークの娘だろうと予測されることになると思う。まあ大逆転でヨーダの孫くらいにしてみると、ガラガラとシリーズの緊張感が崩れていくかもしれない。
 ライトセーバーはフォースを持ったジェダイの武器だと思っていたのだが、特に修行をつまなくてもスィッチさえ押せば光の刃は出てくるようだし、そのまま一般人でも戦うことが可能だというのも本作で明らかになった、のかな。それとも本作でライトセーバーを未経験のまま使うことができたレイとフェンはやっぱりジェダイ予備軍なのかどうか。
 断片的に思ったことを書き出したが、また折に触れてこれ書くかもしれない。映画だってもう1〜2回、劇場に行ってもいいと思っているくらいだから。