東御苑の北桔橋門を抜けると横断歩道を渡ると北の丸公園の入り口になる。なにやら通行規制のコーンが置かれて、ボランティアらしき人が何人かいる。当初、武道館脇を通って田安門に抜け飯田橋に出ようと思っていたのだが、ボランティアの人の言うところによるとオリンピックの通行規制のため田安門方面に抜けることは出来ないという。「オリンピックかよ」と内心に思いつつ竹橋の地下鉄駅へと下ろうとしたら左側、近代美術館の手前に見知った建物がある。国立公文書館、ここはまだ一度も来たことがない。入場無料ということもあり、まあずっと外を歩いていて暑かったこともあり、入ってみることにした。
きちんとした公的な保管施設を設けているのに、事案終了とともに公文書を即廃棄したり、改竄隠蔽などを行っている国である。時の権力者の恣意性のまま、忖度という責任制を希薄させるような言い訳によって官僚たちが公文書を自在に廃棄、隠蔽、改竄しているのである。それを思うとこの施設の素晴らしさは日本の民主主義の建前を体現しているのかもしれない。
しかし多くの記録が、我々からすれば日本史の一コマであるような文書を目の当りに出来るというのもこれはこれで有難いことである。ここは1971年、自分が中学生の頃に開設されたということらしいが、もっと早くに来るべきところだったし、出来れば何度も来るべきところだったと思う。
展示されている文書類を眺めているとちょっとした感動を覚える、そんな場所でもある。
日本の最古の記録の一つである。展示されている資料は室町時代に書写されたものが慶長年間に転写されたという。転写されてからすでに500年を経過している。