泌尿器科通院

 一ヶ月ぶりの泌尿器科の通院。

 いつものように尿検査を行い医師の診察を受けるのだが、これまでPSAの数値がだいたい5~6の間で推移していたのだが、これが一気に8と跳ね上がってしまった。

 医師からは生検術の検査を行う必要があると言われる。PSAの数値は5以上だと前立腺肥大や前立腺ガンが疑われる。3年前に初めて数値が5を上回ったため、この医院への通院を始めた。その時に生検術を一度受けている。直腸から針を刺して前立腺の組織をとり検査するというものだ。麻酔をしているとはいえそこそこ出血もするし紙オムツは下血でかなりやばい状態になる。検査というよりもちょっとした手術みたいな感じで、正直気が進まないがそういうことををいっている場合ではないようだ。

 前回の生検術を受けたことは割と細かく記録していて、自分でもすっかり忘れているようなことも多い。

 念のため医師に今の数値だとガンの恐れはあるのかというと、医師は「ガンでないことをはっきりさせるために検査をします」という。そのうえでガンの確率は37%くらいという微妙な数値を述べていた。

 多分、その37%の数字で顔色が変わったのだろうか、医師はこんなことを言った。

「ガンの話であなたの顔色がずいぶん暗くなっているように見えますが、もし、ガンだとしてもそうなったら、きちんと対応していけばいいだけです。あなたは他にも病気ありましたよね。」

「ええ、糖尿と高血圧が」

前立腺ガンをずいぶん心配されているようですが、私からすれば糖尿の方がよっぽど重病だと思います。保険会社の規定でも糖尿の方が重病扱いしています。糖尿病に関して軽く考えているのは問題だと思います。前立腺ガンはきちんと治療すればほとんど完治できますから」

 ちょうどタイミングよく国立がん研究センターが「がん患者の10年生存率」を発表しているのだが、それによれば前立腺ガンの10年生存率は98.7%だという。

がん患者の10年生存率 国立がん研究センターが公表 | 医療 | NHKニュース

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 この数字だけでいえば、前立腺ガンは普通の成人病の一種みたいなものといえるかもしれない。そういえば上皇前立腺を全摘出したのはたしか2012年のことだった。あれから8年、ご高齢とはいえけっこうご健在な訳だし、まあそういうものなのかもしれない。

 もっともこれは転移とかがない場合のことだ。前立腺ガンは骨に転移することが多いと聞いたことがある。骨に転移すれば当然血流からあちこちに転移する可能性もある。

 生検術は当初は5月中旬にと医師からはいわれたのだが、ちょうど5月の20日頃にちょっとした旅行を計画しているので、その前とも思ったのだが、医師は即座に「じゃあ旅行が終わってから」といわれ、ほぼ一月後の5月下旬にということに決まった。

 その後は血液検査や腹部のレントゲンをとったりしたので、なんだかんだで3時間近くかかった。

 こうなるととにかく検査を受ける、その結果はさらに一週間後ということで5月から6月にかけてはなんとなく微妙に暗い日々を過ごすことになりそうだ。医師は最後にこんなことを言った。

「生検術はガンでないことを確認するために行うんだと思ってください」

 前回も生検術の前後は憂鬱は日々を送った。そのときはガンの疑いが晴れたが、今回はどうなることか。万が一、シビアな結果となったとしても、それはそれ、その現実を受け入れてきちんと治療を行っていくということでしかないのだろう。

 歳をとるということは、少しずつ健康面が衰えていく、健康が失われていくということなんだろうと思う。そういうものと受け止め、病気になればそれを治療していく、もし治らないものならそれと付き合っていく、折り合いをつけていくということなんだろうとは思う。

 仕事を辞めてやりたいこと、しておきたいことはいくらでもある。でも病気になればそれも多分出来ないままに終わるのだろう。まあそれは致し方ないかと思う部分もある。ただし障害者の家族を抱える者としては、出来るだけ長く元気でいる必要はあるのだとは思う。悩みは尽きない。