前立腺レーザー手術を受ける (10月17日)

 火曜日に前立腺レーザー手術を受けた。

 そもそもが前立腺ガンの指標となるPSAの数値が高く、泌尿器科を受診するようになったのが2018年頃。二度前立腺生検術を受けていずれもガンではないとの結果が出たのだがPSAの数値が高いまま。医師の診断は前立腺肥大症でしかも年齢の割に肥大が大きい(なんか表現変?)。ずっと薬での治療を続けていたのだが、数値は変わらずで肥大症も進行中ということで、手術を受けることになった。

 前立腺の手術は電気メスで前立腺を切除するTURP、レーザーを使うもので非接触式のグリーンレーザーを使うPVP、レーザーを前立腺接触させるCVP、さらにレーザーで前立腺の表面を残して内部をくり抜くHoLEPなどがある。

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専門医からのメッセージVol.4 (閲覧:2023年10月19日)

 

 かかっているクリニックではPVPとHoLEPの二種類をやっているのだが、手術時間や費用など諸々からPVPを勧められた。院長は大学病院でもセンター長をしていたということで、県内では名医の評判もある方などで、ある意味診断、治療については全部おまかせしている。こちらは「ハイ、よろしくお願いします」である。

 手術にあたっては、一般的には二泊三日くらいの入院になるのだが、このクリニックでは日帰り手術を売りにしている。医師にいわせると「欧米では日帰りが普通。手術の件数もうちは国内でも多い方ですから、うちが標準です」と自身をもっておっしゃられる。まあ費用面を考えても入院なしのほうがいいのかもしれないけど、その分自宅での安静とか諸々もない訳ではない。

 

 当日は子どもに運転を頼んだ。以前の二回の生検術の時と同じ。麻酔をするので帰りの運転は無理ということ。子どもは今千葉にいるので、前日から来てくれた。

 手術は10時半からで午前中二件目の手術だという。10時少し前にクリニックに到着。しばらくしてから処置室に入って服を脱ぎ患者衣に着替える。定刻の10時半になっても待機は続く。看護師から前の方の手術が長引いているのでとの説明。手術は1時間から1時間半くらいと聞いているのだが、前の方は2時間近いみたい。

 11時くらいにようやく順番となり、歩いて手術台に移動。まずは腰椎麻酔をする。部分麻酔のはずなのだが、前日あまり寝ていないこともありすぐに落ちて、そのまま手術が終わるまで起きなかった。まあこれは自分にとってはラッキーだったかも。

 手術はペニスの尿道から光ファイバーを挿入し、先端にカメラとレーザーが照射するようになっている。レーザーを前立腺の肥大した部分に照射して蒸散(じょうさん)させるのだという。イメージとしては雪にお湯をかけると一瞬で雪が溶けるみたいな感じらしい。しかし細い尿道からさらに細い光ファイバーを挿入して、モニターを見ながら遠隔でレーザーを操作して施術を行う。医療ってどこまで進歩しているのか、そして医師の技量とか、ちょっと感心してしまう。

 手術はジャスト1時間くらいで終わった。ちょうど終わったタイミングで目が覚める。あるいは起こされたか。後で聞いたのだが、途中で手術室に子ども呼ばれて、手術内容をモニターで見せられたのだとか。自分はいびきをかいて寝ていて、途中で左手を動かしてケーブルやら点滴用の管をつかもうとしたとか。もちろん何も覚えていないが。

 手術後は手術台からストレッチャーに動かされ、安静用のリクライングシートに移される。足は完全にマヒしていて動かずで、看護師さん数名で移動させてもらった。当然のごとくペニスには尿道カテーテルが処置されている。それからずっと点滴を続ける。病院によっては翌日カテーテルがとれるようだけど、このクリニックでは早ければ二日後という。その間、ずっとカテーテルをつけたまま、畜尿バッグを携帯した生活だ。

 3時過ぎに点滴も終わり、後は医師の診察を受けて終了。いまだ足はマヒしたままなのでずっと車椅子である。医師から手術は成功、予後も問題ないとのこと。万が一、血栓などで尿道カテーテルが詰まったときには、水をカテーテルに入れて膀胱に水を入れて血栓を流すことになるのだが、その処置方法を実地でやらされる。

 それから会計となる。支払いから処方された抗生物質を薬局にとりにいくまで、すべて子どもにお願いした。子どもを待っている途中、だいぶ足の感覚が戻ってきたので少し足をフロアにつけてトントンと足踏みしてみた。それから車椅子のひじ掛けに手を添えて立ってみたら、足が踏ん張れず転倒しそうになる。たまたま後ろを看護師が通りかかって身体支えてくれたからよかったけど、これで転倒してたらとんでもないことだった。いや麻酔の効きはすごい。

 自宅に着いた時には足の感覚戻っていたみたいで、玄関に常備してある妻用の4点杖を子どもに持ってきてもらい自力で家に入った。そのあと手すりを使って二階の自室に一人であがった。うちはまあ妻が障害赭なので家の中は手すりだらけなんだけど、これがあって本当に良かったと実感。

 

 その日はもうそのままベッドに入ったけど、とにかくカテーテルをつけたままの生活というのは難儀。畜尿バッグは自立しないので部屋の中でもバッグに入れるのがいい。まあ漏れることはまずないのだけど、ベッド下にバケツを置いてその中に置いて、バケツの淵にホックを引っかけた。

 手術の後は絶対安静なので、看護師からとにかく動かないようにと言われた。畜尿バックに溜まった尿もトイレに捨てに行くのはダメでバケツか何かに流せといわれたけど、やっぱりそうもいかない。自分の部屋の隣にトイレがあるので自力で捨てに行ったけど、畜尿バックの入ったバケツを持っての移動はなんとも難儀というか不便このうえない。

 夜は眠れたかというと、これがまったく眠れない。ペニスに挿入されたカテーテルが気になるし、下腹部にも違和感があり、さらに鈍痛もずっとある。まあ考えれば肥大した前立腺を蒸散させたということは、残った部分はやけど状態な訳で、なんかしらの痛みがあるのは当たり前といえば当たり前か。しかし3時、4時と時間が経つにつれて、これはほぼ完徹になるのかなとも思い始めた。

 朝、6時過ぎになってからバケツを下げたまま、汚れ物を洗濯機に入れて洗濯することにする。もうこの移動のたびにバケツを下げるのがとても難儀というかイヤ。それからその日(水曜)は、資源ごみの日で、ビン、カン、他プラを出す日だったことを思い出す。入院してればこれは放置だけど、なまじ家にいれば手術の翌日でもやっぱり身体動かしてします。

 そこで畜尿バッグを肩かけできるトートバッグに入れ、それを肩から下げてその上にパーカーを着込み、ゴミを出しに行く。カンと他プラは台所で透明のゴミ袋に溜めておいているのだけど、ビンは外に保管している。そうやって他プラ、カン、ビンと三つの透明のゴミ袋を持って、カテーテルから伸びた管のついた畜尿バックをトートバックに下げてゴミ捨て場まで捨てに行く。何やっているんだろう自分っていう感じだ。

 それからしばらくして終わった洗濯物を干す。子どもが来ていたこともあり、洗濯物はやや多め。干し終わってから自力で車を運転して通院。いちおう手術翌日は運転OKといわれている。朝9時に来るように言われて、8時45分にクリニックに行くと、すでに数台車が止まっている。入り口の前に2組並んでいたので、その後に並ぶ。みんな畜尿バッグを持っているので手術組で基本奥さんと一緒に来ている。一人で畜尿バッグ下げているのは自分だけ。まあ仕方がない。

 その日は点滴をして最後に医師の診断というか問診を受けて終了。医師からは翌日にカテーテルを外せるとのご宣託があった。

 

 畜尿バッグをつけての生活というのは本当に難儀だ。重い腎臓病などで排尿ができない状態になる方もいると聞く。そういう人は日常的にカテーテルをつけ、畜尿バッグを常につけて生活をしているのだという。アマゾンで検索をすると畜尿バッグも売っているし、そのバッグを入れる外出用のバッグもある。肩掛けバッグでショルダーベルトが長めになっている。畜尿バッグは常に膀胱の位置より下にしていないといけないのだとか。そういう意味では、寝るときも基本はベッドでないとダメで、医師からも手術の前にそのことは聞かれた。さらにいえば畜尿バッグを入れるバッグも足とかにしばりつけて隠せるようになっているものもあるとか。

 畜尿バッグを日々帯同させる生活。多分、こういうのは慣れの問題なのかもしれない。妻にいわせると、デイでも常に肩掛けカバンに入れている人や、車椅子にかけている人もいるとか。同じように人工肛門の方は、外出先でも自分で処置をしなければならない。大変なことだとはわかる。

 

 手術の翌日ということで、もう安静にしている必要はない。とはいえ畜尿バッグを下げているので当然行動は制限される。それでも自室とリビングや台所を何度も往復する。二日目はOKが出ているので自力でシャワーを浴びてみる。お湯を抜いてある浴室に畜尿バッグの入ったバケツを置き、恐る恐る頭を洗い、髭を剃り、身体を洗う。そこで初めてカテーテルの挿入されたペニスを見る。上向きに固定された哀れなペニス。本当に哀れなという言葉がぴったりだ。

 本当に恐る恐るのシャワー。浴室を出てから濡れたバケツ、畜尿バッグ、カテーテルをまずタオルで拭き、それから身体を拭く。自室に戻ってから下着をつけ、部屋着に着替える。カテーテルをつけたままの着替えも難儀このうえない。

 ここでトラブル発生。カテーテルを身体に腹部で身体に固定させている絆創膏が濡れたせいでとれてしまう。あわててバケツを下げてリビングに行き、薬箱から絆創膏を持ってきて固定させようとするがすぐに剥がれる。そこでまたリビングに戻り防水の傷あてパッドを持ってきて、ついでに透明の養生テープも物入から出して持ってくる。そしてまず傷あてパッドでカテーテルを固定し、その上から絆創膏を何本も貼り、さらにその上から養生テープを貼って固定させる。きちんとカテーテルは貼りついたけど、これって剥がすときに難儀かもしれないな。

 その日も早めに床についたけど、少し寝てもすぐ起きてしまうの繰り返し。結局5時頃にはベッドから出て、昨日と同様にゴミ出し(もえるゴミ)。それから洗濯して前日と同じ9時少し前にクリニックへ。

 手術2日目で、予定どおりに最初にカテーテルを抜いてもらう。当然、抜くときにけっこうな痛みがある。自分は基本痛みに弱いので、「うう」とうめいてしまう。看護師さんは「ごめんなさいね」と。しかしカテーテルを抜かれて自由になった身体はこのうえなく快適な感じになる。もちろんペニス付近に若干のヒリヒリした痛みとかはあるけど、ずっとカテーテルつけている不便さに比べればなんのこともない。

 その後は2時間くらいずっと点滴。用意したペットボトル4本の水をひたすら飲み続ける。あまり尿意はないのだが、途中から30分置きくらいにトイレに行く。点滴を引きずりながら、片手に尿を入れるビーカーのようなものを持っていく。排尿はすべてビーカーに入れて検査する。一回ごとの新たなビーカーをもらう。手術後、自力で出す尿は最初はかなり赤いが、だんだんと濃い黄色になっていく。

 点滴までに4回の排尿、その後は医師の診断。術後は順調のようで、帰ったらすぐに入浴して腹部を温めるように言われる。そしてもし痛み、出血などがある場合は4時までに連絡してもう一度クリニックにくるようにと。診察室を出たあとで、看護師からひどい状況になったらすぐに救急車を呼んでとも。

 自宅に戻ってからはデイが休みの妻と二人でおやつを食し、それから入浴。その後はこの二日あまり寝ていないこともあり、すぐにベッドに入った。カテーテルが入っていないのですぐに眠れた。それでも断続的に1~2時間すると起きてみたいなことを繰り返している。

 まだ翌日も通院も必要なのでなんとも言えないけど、とりあえず前立腺レーザー手術は成功したようだ。前立腺生検術はもう二回やっているけれど、できれば手術の方はもうやりたくないというのが実感。でもたぶん加齢とともに再発もあるかもしれないし、前立腺ガンになるかもしれない。

 YouTubeで80過ぎのお爺さんが、迷惑老人の様々な態様を実演するという動画があるらしい。そのお爺さんの最初の挨拶は「80過ぎのジイサンは全員前立腺肥大」で始まる。爆笑必須の動画コンテンツなのだが、笑えるけど笑えない。60代後半だけど立派な前立腺肥大である。

 とりあえず手術は無事終了したみたい。

 

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