小田原だるま食堂

 箱根から早々に下山(というのだろうか)、小田原で昼食をとることにする。

 お目当ては小田原だるま食堂である。

 ここに最初に来たのはいつだろう。多分、二十代の頃だと思う。当時勤めていた取次では、有志で健保の保養所への宴会旅行を年に何回か行っていた。箱根にも何度か行ったのだが、その旅行の帰りかなにかで寄ったのだと思う。名物の天丼が美味かったという印象が強く残っている。

 それから十数年してから、家族旅行で同じ箱根の保養所に寄った帰りに立ち寄った。まだ子どもが小学生に上がる前で、カミさんも病気になる前だったと思う。多分、昔宴会旅行の帰りに寄ったとか、天ぷらが美味いとか、思い出話し的うんちくでもしゃべりながら案内したんじゃないかと思う。

 それからは一度も来ていない。何度か店の前までは来たのだが、いつも待ち客が列を成しているので断念みたいなことを繰り返したように覚えている。今回も日曜日だし、かなり待つだろうとは思ったのだが、まあ急ぐ旅でもなしということで、寄ってみた。

 と、まず駐車場に車を入れるまでに時間がかかる。着いたのが1時少し前という昼時だったから駐車待ちが2〜3台。それでも車椅子だというと、駐車係の方が気を利かしてくれて、店の入り口に一番近い駐車場を案内してくれた。

 そして車を駐めてから店の前、ここには順番を待つ客が多数いる。入り口で名前と人数を書くのだが、だいたい20番目くらい。結局30分くらい待ってようやく店内に案内された。

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 頼んだのはいつものごとく天丼。ただし記憶の中の天丼はもっと美味かったような印象があるのだが、出てきた食したのはまあ普通の天丼である。天やの天丼よりは美味いけれど、感動するほどの味でもないし、天ぷらもさほどサクサク感もない。いや、別にディスる訳ではない。そこそこには美味いし、2千円前後の天丼としては、まあまあ合格点ではある。でも、なんていうのだろう、記憶の中の天丼はもっと美味かった。ただそれだけである。

 思えば、二十代の頃はそれほど美味いもの食べていた訳でもない。そんな時分に「ここの天ぷらは美味いんだよ、どうだ、美味いだろ」的に紹介されれば、それは美味いと思い込むもんだろう。いや、実際当時の貧乏な若者にとっては、とても美味い高価な天丼だったのだと思う。その記憶のままにいるのだから、30年以上の歳月を経て食され、どうのこうのいわれる天丼も気の毒ではある。

 まあ、気が向いたら箱根で遊んだついでまた来るかもしれない。でも30分近く待たされることを考えると当分はいいかなとも思った。

 いやでも、まあ普通に美味しい天丼ではあるのだが。

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