お盆休暇と保養所

 10日から二泊、日光の保養所に行ってきた。せっかくのお盆休暇なのでどこかに泊りたいと抽選申し込みしたのだが、当たったのが日光だけだった。

 以前は関東からは遠い淡路島は抽選申し込みをすればほぼ確実に当たった。なので夏の休みと正月休みはかなりの頻度で関西まで出かけていた。往復で2000キロというロングドライブだったが、一泊8000円でホテルに泊まれるということもあり、車移動が常の我が家にはありがたかった。

 しかしやはり団塊世代が一斉にリタイアした5年くらい前くらいから、健保の宿をとるのが至難になってきた。社会的にも団塊世代のリタイアによって一気に人手不足となるのである。出版業界も同じような縮図にあるのは当然のことだ。

 なので連休の宿取りはかなりハードルが高くなった。なので抽選申し込みもたいていは外れるし、取れてもあまり人気のない日光が中心となる。とはいえ日光もけっして悪いところではない。都内から近い観光地で、世界遺産に指定された寺社仏閣が多数散在する。それでも比較的宿が取りやすいのは、他の宿に比べて施設が古いからということなのだろう。

 ここ30年くらいのスパンで考えても箱根、軽井沢、伊東と改修がすすんでいて、まったく改修されていないのは日光と京都くらいだろうか。もっとも日光は東日本大震災でけっこうなダメージをくらって、小規模な改修は行われたとは聞いている。風呂の壁の一部が崩れたのを見た記憶とかもあるにはある。

 とはいえ日光は、通常の大浴場とは別に古い浴場を家族風呂として使うことができる。妻の入浴介護が必要な我が家にとっては、たいへん有難い施設でもある。実際、使うときには熱い風呂を広めの浴室にはって、私と妻だけで利用することができる。なので妻には広い浴室に思う存分入ることができる。

 年に数回利用しているので、もう施設の人とは顔馴染みになっているので、こちらから何か言わなくても家族風呂は利用可能な状態になっている。このへんは本当に有難い。

 箱根の保養所には体験施設としてかなり立派な介護風呂があるのだが、かれこれ10年くらい前に風呂釜が壊れたままになっている。そのため最初に沸かしたお湯をはっても、追い炊きができない。入る前に予約を入れてお湯を沸かしてもらったら、あとは冷める前にすぐ入らなくてはならない。

 風呂釜が壊れる前は温泉を追い炊きしてもらえたので、利用することを事前に告げておけばいつでも温かい風呂に入れたのだが、それができなくなっている。それ以来、箱根でこの体験介護風呂を利用することはなくなってしまった。

 それに比べると、日光の家族風呂は自分で浴槽にお湯を張るのだが、その手間さえ惜しまなければいつでも温かい風呂に入れる。そのため妻を広い浴槽で入浴させることができる。

 ということで今回も二泊のんびりと過ごさせてもらった。上げ膳据え膳での食事、食事のあとは一曲100円でカラオケも楽しめる。まあ細やかな贅沢といえるかもしれない。病気になってからは、自分で自由にあちこち行くことができない妻にとっては、休日に私と遠出するのが何よりの楽しみなのかもしれない。

 比較的安価で、そこそこ美味い食事ができ、風呂に入れる。ある意味庶民の、障害のある家族のいる家庭の小さな幸福。