バトル・オブ・ザ・セクシーズ

 明け方に「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」を観た。元々は借りてきたレンタルDVDを観るつもりだったのだが、冒頭に入っている予告編-これが長すぎると夜半だと、本編の前に寝落ちすること多々ある-を観ていて、この映画が紹介され、こっちの方が面白そうだと切り替える。ネット配信で観れないかと探すとアマゾンビデオで有料配信してたので観た。いや~、ネット配信っていうのは便利だ。これではTSUTAYAの売り上げが低迷する訳だと実感。

f:id:tomzt:20190525163551j:plain

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

 この映画はというと、1973年に行われた全米女子プロテニスチャンピオン、ビリー・ジーン・キングとかっての男子テニス世界王者ボビー・リッグスによる男女テニス・マッチを描いた映画。ビリー・ジーン・キング、我々20世紀世代にはキング夫人という呼称が懐かしい。

 さらにいえばビリー・ジーンというとマイケル・ジャクソンのヒット曲を想起するのだが、ある時代までのアメリカではキング夫人を指すのが一般的だったようだ。マイケル・ジャクソンが「ビリー・ジーン」を作った時にプロデューサークインシー・ジョーンズがキング夫人と関連付けられるからタイトルを代えた方がよいとアドバイスするが、マイケルは拒絶したなんてエピソードを何かで読んだ記憶がある。

 まあそれだけ70~80年代アメリカにあって、ビリー・ジーン・キングはスーパースターだったんだな。ビリー・ジーンことキング夫人は自分らの記憶ではメガネをかけたパーマのオバさんみたいなイメージなんだが、メガネをとり、今風に化粧や諸々施したりすれば、かなりの美人さんだったのかもしれない。映画の中でもそんな風にラジオか何かで紹介されているエピソードがあった。

f:id:tomzt:20190525163549j:plain

 そして映画自体はというと、タイトルどうり性差の対決という部分やLGBT風味のスポ魂映画かと思ってみていると、これはまった大間違い。確かにLGBT部分や既婚者のビリー・ジーンが同性愛に目覚めていく過程とかも細かいドロドロは別にして、割と省略なしに描かれている。

 しかし真面目な映画かというと博打中毒で家庭生活と過去の栄光との間で苦悩するボビー・リッグスの描かれたとか、かなりデフォルメというか戯画化されている。というかビリー・ギッグス自体が割と戯画化された人生を送ったという部分もあるのかもしれないけど。

 二人の対決シーンも特に山があってということもなく淡々としてるし-実際、割と淡々とした試合だったらしい-スポーツものとしてはどうなのかというと微妙。LGBTものでもないし、スポーツものでもない。でも映画としては滅茶苦茶面白いのである。

 ひょっとしてこれってコメディ映画かなと思ったりもする。そうやって観てみると時代的な風刺も効いているし。実際、割と社会的な感じの映画かと思われるものが、アメリカではコメディジャンルだったりすることがある。サム・メンデスの『アメリカン・ビューテイ』なんかもその典型だったし。

 ということでとりあえず自分的には面白いスポーツ&LGBT風味のコメディ映画という位置づけで評価することにする。

 あと、この映画でのエマ・ストーンのキング夫人へのなりきりが凄い。美人の彼女がもうビリー・ジーン・キングそのものに見えてくるからびっくり。彼女は今一番のハリウッド女優かもしれないと思った。

 あと、この映画のレビューでは菊池成孔がけっこう熱いの書いている。

realsound.jp