美術館初詣は東京富士美術館から

 ここ2年くらい、正月最初に行く美術館は上野の西洋美術館だったのだが、今年はまあ家から比較的近いということで八王子の東京富士美術館に行くことにした。鶴ヶ島から高速にのると30分程度で着いてしまうので楽である。しかも収蔵作品が豊富で16世紀あたりから20世紀までの西洋絵画コレクションが充実している。

www.fujibi.or.jp

 ちょうど企画展が来週から始まるようで、企画展と企画展の合間で常設展のみという時期。正月明けだというのに閑散としていた。受付で「常設展だけですが」と言われたので、常設展を観に来ましたと答えた。

 展示室もほとんど来客がいないので、ゆっくりと、のんびりと鑑賞できた。営業的には問題はあるんだろうが、こういう人が殺到しない美術館は本当に素晴らしい。コレクションの豊富さと、立派な建物の維持はたいへんだろうが、まあ巨大宗教団体の運営だけにそのへんはあまり考えなくてもいいのかもしれない。

 この日はいつもだと割とスルーする17世紀の作品とかを注視するようにした。

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アブドロミノに奪った王冠を返還するアレクサンドロス大王

 17世紀ジェノヴァ派を代表するベルナルド・ストロッツィの作品である。様々な様式を取り入れて独自な様式を確立した画家という話なのだが、自分などからすると単なるカラヴェキアンの作品にしか見えない。

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ヘラクレスとオンファレ

 テオドール・ファン・テュルデンの作品。一見してルーベンスっぽいと思ったが、解説をみるとルーベンスの協力者、周辺の画家として記憶されているという。まあそういうものだ。

 17世紀にあってはルーベンスとカラッヴァッジョの影響はヨーロッパを席巻していたんだろうというのは簡単に想像がつく。

 そしてこの美術館の看板作品の一つとして人気のあるこれを抑えにおいておく。

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鏡の前の装い(ジュール・ジェーム・ルージュロン)

 アカデミズム派の画家でカバネルに学んだとは解説にある。アカデミズム派、新古典主義の流れはアングル、カバネル、ブグローと続く。いずれもサロンを中心に活躍したようだが、ルージュロンもその流れの一端にいたのだろうか。まあ画力溢れる見事な絵だとは思う。