アーティゾン美術館『STEPES AHEAD』にやはりこれも新収蔵品としてミニコーナーとなっていたのが『芸術家の肖像写真コレクション』。ナダールやアジェなどの写真などにより図録や書籍などで見たこともある肖像画もあるが、今回初めて見た著名画家たちの肖像画が多数あり、これはとて興味深いものがあった。
肖像画のセザンウそのものではないかと思ったりもする。こうやって画材道具を担いで故郷エクス=アン=プロヴァンスの山中を写生していただろう。いかめしい雰囲気だし、これはちょっと話しかけたりしにくい画家だったんだろうなと想像する。
子どもの頃の両足の骨折により、以後両足の発育が止まってしまったロートレックの姿をとらえた有名な写真である。身長は152センチということだが、この障害がロートレックの精神に与えた影響は大きかったのだろうと思う。
アカデミズムの巨匠アレクサンドル・カバネルである。いかにも画家、それも大家のアトリエという雰囲気が醸し出されている。ここであの名画『ヴィーナスの誕生』が絵描かれたのだろうか。
画家の後ろの絵は代表作『マダムX』である。サージェントの肖像を知らなくても、作品リストを確認しなくても、サージェントと一目でわかる。スタイリッシュでいかにも画家ですという雰囲気を出している。
1883年5月6日、マネの死んだ6日後に34歳で亡くなったエヴァ・ゴンザレスである。こうした写真をオスタンがなぜ撮ったのか今となってはわからない。印象派の女流画家としてはもっとも短命な人だった。