本に特化した倉庫業「東京書庫」についてのメモ

 新文化5月31日業の一面掲載記事

 「自宅での本の置き場」は、本好きの読者にとっては昔から尽きない悩み。とくに都心でアパート、マンション暮らしをする「捨てられない読者家」にとっては尽きることのない大きな課題でもある。2002年から本を保管する倉庫業に取り組んできた東京書庫(株)(埼玉・川越市)は、個人であkでなく、企業や図書館から大量の本を預かっている。その冊数はなんと150万冊以上。顧客のニーズは年を追うごとに高まっている。競合他者もあるが、支持されている理由は同社のサービスにあった。あまり知られていない同社の取り組みをルポする。

 東京書庫は竹淵裕典社長により1965年創業。当初、企業の書類を預かる倉庫業だったが、一般読者を顧客とする「本の保管ビジネス」を1992年から本格化させ現在に至る。現在の取り扱い冊数は150万冊以上、契約件数は10000件弱で、顧客の構成は個人客が約80%、残り10%ずつが図書館と企業となっている。
 本の倉庫会社はトランクルーム貸し事業が一般的だが、こうしたスペース貸し業者では本の保管がメインで本の入出庫を行っていないため本を必要な時に取り寄せたりすることが難しい。これに対して東京書庫では本のリスト作成から取り寄せサービスまでを行っている。

 東京書庫は、ケース単位で本を預かるだけでなく、2008年から本のリスト作成サービスを付加した。リスト作成料は、ISBNが付いた書籍が1冊10円、それ以外の書籍や洋書、雑誌などは同40円。このリストはCD-ROMに落とし込まれ、自宅で検索することができ、希望する本を1冊から取り寄せることができる。

 費用については一箱に単行本で約50冊、文庫本で100冊収納のケースを5箱単位基本セットとして1500円、保管料は一箱あたり月250円。1セットを1年間預けた場合に本の送料を合わせて以下の金額となる。

箱代               1500円(5箱セット)
年間保管料    15000円(1箱月250円×12ヶ月×5セット)
送料               3000円
合計             19500円
※すべて単行本とした場合リスト作成料は250冊×10円=2500円

 この他、東京書庫では大学図書館公共図書館を中心に約30館との取引がある。その中でも改修工事のため4年間にわたって本の保管を依頼している慶應大学図書館からは9万冊の書籍が預けられているという。