青嘉堂-明治美術狂騒曲 (5月26日)

静嘉堂文庫美術館 - 東京・丸の内にある美術館。国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を収蔵。

(閲覧:2023年5月28日)

 

 午前中、歯医者通院でお茶の水まで。午後は丸々空くので美術館巡りへと。

 最初に行ったのは丸の内にある青嘉堂文庫美術館。ここは三菱の二代目総帥岩崎弥之助のコレクションを元にした美術館で前から一度行きたいと思っていた。折しも特別展「明治美術狂騒曲」が開催されていて、東近美にも出ていなかった重文、橋本雅邦の《竜虎図屏風》が出ていると聞いていたので、ぜひと思っていた。

 お茶の水からは徒歩で30分くらい。まずまずの天気で心地よい中お堀端を歩いて丸の内に到着。ほぼ日比谷よりの明治生命館を目指す。美術館の外側のショーウィンドーにもこの企画展のスライドが流れていて、当然のごとくに《竜虎図屏風》も映し出されている。そして入場料1500円也を払っていざ入場。展示室は入場してすぐのところにあるホールを囲むように3室で展開されている。

 ギャラリー1は第1章「『美術』誕生の時-江戸と明治のあわい」として歌川広重河鍋暁斎らの浮世絵版画がある。第二章「明治工芸の魅力ー欧米好みか、考古利今かー」で陶磁器、蒔絵、螺鈿などなど。さらに第三章「博覧会と帝室技芸員」で松本楓湖や今尾景年の屏風絵、最後に第4章「裸体画論争と高輪邸の室内装飾」で黒田清輝の有名な《裸体婦人像》などがある。

 一通り観て橋本雅邦がないので展示リストを見返してみると、あれれ《竜虎図屏風》は前期展示4/8~5/7までとなっている。これはまいった。まあ重要文化財の展示期間は法律でも決まっているし、二ヶ月間の期間すべてを展示した場合はおそらく今年度は展示は出来ないとそういうことなんだろう。さらにいえば展示は多分東近美の「重要文化財の秘密」の期間(3/17~5/14)に合わせているということなんでしょう。

 まあ事前に調べてこなかったこっちが悪いのだけど、目玉中の目玉だけにちょっとしたがっかり感がある。思えばこういうの何度も経験している。モネの《印象日の出》も前期展示で観ることできなかったりとかあったなあと、ちょっと遠い目してみたり。

 とはいえ、後期展示の作品も基本名品ばかりである。橋本雅邦と入れ替わりで後期展示となった松本楓湖の《蒙古襲来碧蹄館図屏風》も《竜虎図屏風》と同じ明治28年(1895年)制作の名品である。けっして残念な作品でもなんでもない。

《蒙古襲来碧蹄館図屏風》松本楓湖 1895年 

 松本楓湖は歴史画が得意で、たしか今村紫紅速水御舟、小茂田青樹らが門人だったか。細密で美しい絵なんだけど、やっぱり橋本雅邦が観たかったので・・・・・・。

 

 あとはお約束で黒田清輝を。

《裸体婦人像》 黒田清輝 1901年(明治34年

 東京上野で開催された第6回白馬会に出品されたが、官憲の介入により画面の半分を布で覆って展示されたという。いわゆる裸体画論争とか腰巻事件と呼ばれたもの。その後、岩崎家の所蔵品となり、高輪別邸の玉突き室の壁面を飾っていたという。今回はこの絵の他に高輪別邸の写真なども展示してあった。