星由里子死去

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 昨日の西城秀樹に続いて今度は星由里子である。我々、あるいは少し上の世代にとっては若大将シリーズのヒロイン、永遠の「澄ちゃん、澄子さん」である。自分は小学生の低学年くらいから、なぜか加山雄三の、若大将シリーズの大ファンだった。映画は大抵怪獣映画との二本立てだったので、本当によく観た。ちょうど小学校の3~4年くらいの頃から一人で映画館に行くようになった時期が「海の若大将」、「ハワイの若大将」、そして「エレキの若大将」、「アルプスの若大将」のあたりでは加山雄三が自ら作った歌を熱唱し、その頃から加山のレコードを買うようになった。
 自分にとって加山雄三は最初のアイドル、ヒーローだった。その若大将の相手役、ヒロインが星由里子だった。ちょっと気の強く、頭の回転が早い、そして少しだけ嫉妬深い現代的な女の子、役柄もスチュワーデス、レコード店の店員、化粧品店の店員など、その都度変わったが、基本的にはワーキングクラスのどこにでもいる女の子という設定だった。
 髪型はいつも同じで、どことなくその時代的にいえばレナウンのイエイエガールみたいな雰囲気があった。そして何より美しかった。当時の若手人気美人女優、今で言えばアイドルに相当するのだが、日活では吉永小百合を筆頭に、和泉雅子らはやや可愛い感じのタイプ。松原智恵子はどこか陰のある感じだった。それに対して東宝の女優は健康的なタイプが多かった。その中でも星由里子と若大将シリーズの二代目ヒロインとなった酒井和歌子は、正統派の美人女優だった。
 深夜、なんとなく淋しい気分でDVDをひっくり返した。若大将シリーズで一番のお気に入り「エレキの若大将」を観た。お気楽なストーリー、稚拙な演技、安直な演出、量産されるロードムービーのような出来である。それでも加山雄三、星由里子、田中邦衛、みんな若くハツラツとしている。この映画から加山雄三の大ヒット曲「君といつまでも」が生まれた。映画の中では珍しく加山雄三と星由里子がデュエットしている。シリーズ中でも二人のデュエットはほとんどないのではないかと思う。
http://www.youtube.com/watch?v=OF0o6pmXZOw
 その他、この映画からは加山雄三のインストの名曲「ブラック・サンド・アンド・ビーチ」「走れドンキー」「蒼いほしくず」などが挿入されている。さらにいえば、寺内タケシも出演するし、彼のバンド、ブルージーンズも出ている。なぜかそのメンバーに後にワイルド・ワンズを結成する加瀬邦彦がいたりもする。
 なんだか星由里子の話から若大将シリーズへの話が脱線したけど、彼女の記憶はすべて若大将シリーズとともにある。彼女の美しい姿は若大将シリーズとともに永遠に記録され、記憶に残り続けるのだと思う。
 74歳、まだまだ若いのに。ご冥福を祈ります。