大原美術館再訪


 古賀春江
 これが倉敷へ来た目的である。最初に来たのは27〜28の頃。次に訪れたのは8年前。三度目の訪問である。日記を読むと前回ここへ来たのは4時頃、同じGWの頃でこの時期は通常5時まで営業が7時までやっているらしい。これはまったく覚えていなかったのだが、日本の作品を集めた別館は5時までの営業で、入り口で先に別館に行くことを勧められたのだが、西洋画を見たいので断念したという記述がある。
倉敷〜大原美術館 - トムジィの日常雑記
 作品は前回でも感じた素晴らしいものばかりだ。
<積みわら>

「積みわら」はいろんなところで観ている。連作ものとしては「睡蓮」と同じく作品の点数が多いが、小さく人物を配したものは初めて観たかもしれない。前回も展示してあったのか、これは記憶にない。この二人は妻と子どもだろうか。積みわらに寄りかかる親子の寛いだ雰囲気があり、「積みわら」の中ではちょっと異色な感じがする。
<りんご採り>

 これも収蔵作品としては有名だ。ピサロの代表作といえるかもしれない。やや俯瞰から働く女性三人を大きく配し、りんごの木はほとんど描かれていない、大胆な構図の妙というところか。ピサロに働く農民を描いた作品が多いのは、無産主義者、アナーキスト出自の所以だろうか。
<メキシコ>

 サム・フランシスを知ったのは多分この美術館でのことだ。解説文にもあるように飛行機事故で入院中に啓示を受けて画家になったというエピソードは、彼の抽象画を理解する上でも、また楽しむ上での重要かもしれない。
 この作品ではそうした哲学的な部分を配して、メキシコのエキゾチックな雰囲気がカラフルに描かれていて、ちょっと楽しくなるような作品だ。抽象絵画の画家たち、きっとちょっとした楽しい気分をそのままキャンパスに描き出しただけで、特に深い意味などないのかもしれないなと思ったりもする。この作品だの、ピエト・モンドリアンの作品などにそんなことを思うことしばしば。