神保町ブックセンターに来ている

 2016年11月に店主の死去に伴って破綻し、閉店となった岩波ブックセンター信山社の後にできた書店、いや本が壁面に展示してあるカフェである。
 運営主体はUDSという小田急関連のデベロッパーだという。
 神保町という本の街で、専門出版社岩波書店の小売部門的色彩を帯びていた信山社の後にできたブックカフェである。かっての岩波書店の読者、概ねそれは中高年ということになるのだろうが、その人たちが立ち寄る場所ができたという部分もある。それとは別に神保町に新たな休息場所カフェができたという部分で、本好きな人々がひととき過ごせる場所というところか。
 見た所、カフェ利用の客はほぼ満席状態だ。日中は、ここで打ち合わせを行う近くの出版社系の人々も多いだろう。そして本はというと、いちおう岩波書店の稼働書籍がほぼ全点陳列されている。この本は販売もされているようだが、ほぼディスプレイという位置付けもあろうか。カフェ利用の顧客は自由に本を取り、コーヒー飲みながら読むことができる。
 ディスプレイ及び見本、自由に岩波の本を読むことができる。そうなると商品としてはどうなのかというと微妙なところがあるかもしれない。多くの人が手にとった本を購入することに抵抗を感じる人もいるかもしれない。かといってここの本は原則1点ずつの陳列で、複数置いてあるものは少ない。
 岩波の本は買い切りである。そうなると痛んだ本は償却処理となる。ディスプレイとしてどの期間でロス処理できるのかどうか。商品とディスプレイとの位置付けなど、課題も多そうだ。
 とはいえ岩波の本の稼働点数は1万点弱、それが壁面をに見事に陳列されていて、ある意味知的な雰囲気を醸し出している。