東西美人画の名作<序の舞>への系譜

 東京藝術大学美術館で開催中のこの企画展を観て来た。

http://bijinga2018.jp/highlight.html
 上村松園の代表作「序の舞」はつとに有名ではあるが、これまでオリジナルは観たことがなかった。この重要文化財指定の作品が東京藝術大学の所蔵であることは最近知った。そして2年をかけて修復された作品が今回、久々に公開されるということも。
 日本画は保存が難しく、長期公開には向いていない。そのため有名な作品は二ヶ月程度の公開とそれ以外は保管および修復が行われているともきく。
 この有名な作品も制作から80年近くを経過し、絵の具の剥離もみられるということで、展示も見送られていたという。今回、二年にわたる大規模な修復が行われて初めての公開という。修理修復の詳細についてはこのサイトが詳しい。
http://bijinga2018.jp/repair.html
 さらに「序の舞」を中心に同時期の美人画の系譜を東西の日本画家の名作、秀作を中心に展示するというのが今回の企画展だ。当然のごとく上村松園と並ぶ美人画の巨匠鏑木清方山川秀峰から菊池契月、中村大三郎らの作品が展示されていて、一種独特の壮観さがある。
 「序の舞」は圧巻である。上村松園の代表作であると共に、近代日本画のエポックメーキングとなる作品である。鏑木清方にあるような写実性を廃し、精神性を強調したような表現は静謐な存在感を有する。同様に松園に感じるのは鏑木清方山川秀峰伊東深水らの線の細さに比して、より柔軟で緩やかな線を有しているように思う。特に着物の線に強くそれを感じる。
 以前、山種美術館上村松園の回顧展を観たときに感じたことだが、今回もなんとなくそれを感じた。線が独特な緩やかさを持っていて、そこが写実的な客観性とは異なる内面性を表しているようなそんなイメージだ。
<序の舞>

 個人的には鏑木清方美人画のほうが好きかもしれない、なんとなれば彼のどこか男性視線からの美人画の再構成され、理想化された美のほうが親和性を覚えるのかもしれない。
<美登利>

 そのほかでは菊池契月のモダンで様式化された作品も心に残った。
<友禅の少女>

<散策>