国立近代美術館MOMATへ行く

 午後、歯医者の予約をとったので早めに会社を出る。治療の後、だいぶ時間があったのでまず高田馬場の芳林堂で暇をつぶす。この本屋に行くのも随分と久しぶりのことだ。一昨年だったか、経営危機に陥り、それが要因で中小取次の太洋社がつぶれた。芳林堂の方はというとちゃっかりアニメイトの傘下に入り、そのまま営業を続けている。そういう事件といえば事件があったのを思い出す。
 ここ数年で中堅取次が次々と経営聞危機に陥った。まず大阪屋、その翌年に栗田が経営破綻し、大阪屋と合併してなんとか倒産だけは回避した。今は大阪屋栗田という名称で商売をしているが、弱者連合という印象は否めない。それから太洋社である。芳林堂からの月末の入金がなく、それで資金ショートを起こしたという話だが、まあ芳林堂との一手取引がリスクを広げていたのかもしれない。
 アニメイト傘下ということだが、特に品揃えが変わったという風もなく、昔からの芳林堂という感じだ。30年近く前にはここにもよく営業で回った。割と話のわかる担当さんがいて、芳林堂は池袋店も含め、割と親和的だったように記憶している。
 小1時間店内をぶらぶらした後、東西線に乗り竹橋まで行き、近代美術館へ行く。1月14日にも行っているのでさほど久々感もない。ここの常設展示では、4階、3階の展示が割と頻繁に変わるという印象がある。日本画は保存が難しいので、長期間展示すると絵が痛むので、二ヶ月程度で入れ替えるという話を何かで読んだことがある。
 今回はというとまず4階の展示が大幅に変わっており、安田靫彦の「黄瀬川陣」を観ることができた。ポスターや図録とかでは観たことがあり、いつか観たいと思っていた作品。独特の緊張感が絵全体を支配している素晴らしい作品だ。

紙本著色黄瀬川陣〈安田靫彦筆/六曲屏風〉 文化遺産オンライン
 その他では3階で小杉放庵の「椿」を観た。いい絵だと思う。この人の絵は日光東照宮の近くにある美術館で観たことがあるが、基礎知識に乏しかったのであまり楽しめなかった。今度、日光へ行くときにはゆっくり観てみたいものだと思う。あと確か東大の安田講堂のステージの上部にこの人の壁画があったようにも記憶している。子どもの吹奏楽の演奏を聴きに行った時に、ステージ上の絵が気になって調べてみたんだったか。