茨城県近代美術館の続き。入口から正面突き当たりは常設展示室となっている。ここでは茨城県所縁の芸術家を中心に近現代の作品が多数展示されている。近代以降の日本洋画のコレクションが豊富なのもこの美術館の特色といっていい。
展示室は広く、二室に別れている。
展示室1 日本の近代美術と茨城の作家たち 秋
主な出品作家小川芋銭 横山大観 木村武山 小林巣居人
萬鉄五郎 中村彝 小堀進 香月泰男 麻生三郎 堀内正和
エドゥアール・マネ クロード・モネ オーギュスト・ルノワール
この美術館の目玉ともいうべきモネやルノワールとともに茨城所縁の画家たちの作品がある。そう、いわれてみれば横山大観も茨城出身だということに改めて気が付いた。
この絵は多分初めてみたが、ポーラ美術館所蔵のモネに匹敵するなかなかの傑作だと思う。
このルノワールも美しい作品。確かこれは去年、栃木県立美術館で観ていると思う。
そして第二展示室に移る。
展示室2 彼の地(西洋)とこの地(日本)ー海の外に憧れて。中村彝と日本の洋画家たち
中村彝といえば近代美術館の「エロシェンコ像」が有名。新宿・中村屋のオーナー相馬愛蔵がパトロンとなり中村屋の裏にアトリエを与えら画業に励んでいたが、相馬の娘モデルにし、さらに結婚を申し出たが、反対され失意のうちにアトリエを引き払ったことなども、近代美術館の解説の中にあった。
このへんのエピソードはこのサイトが詳しく楽しく読めた。
まあ中村屋の相馬からすれば才能を評価して支援していた画家が、娘をモデルにしてヌードまで描いていたことだけで檄怒りだろう、さらには結婚まで申し込むとあっては、なんというか飼い犬に噛まれたも同然の思いだったのかもしれない。まあ直接的に結婚を反対したのは、中村彝の病気結核が理由だったということのようだけど。
さらにいえば、彝と別れた娘はインド人の留学生と結婚し、そこから中村屋のカレーが生まれたという話は出来過ぎのような気がする。ブログの記事でもドラマ化すればということが書かれていたが、実際この話、小説にでもなれば面白いと思う。
戦前の画壇や画家の人生はけっこう小説のネタとしてはイケるのではないかとそんなことを思わないでもない。
その中村彝に師事していたのが同郷の鈴木良三。
美しい絵の数々だと思う。
そしてもう一人気に入ったのが、やはり茨城出身の熊岡美彦。
この人の絵はエコール・ド・パリ風、キスリングあたりの雰囲気があるが、単なる習作ではなく完全にオリジナリティをものにしていると思う。少しだけ同時代の画家、田中保と近しいものを感じる。
裸体