前から気になっていた水戸にある茨城県近代美術館へ行ってきた。この美術館を知ったのは1年と少し前、栃木県立美術館「まなざしの洋画史 近代ヨーロッパから現代日本まで」という企画展を観たから。この企画展が栃木県立美術館と茨城県近代美術館のコラボだったこと、茨城県近代美術館がルノワールやピサロといった大家の作品を収蔵していること、それ以外にも近代日本の洋画家の作品を多数収蔵しているということで、いつか機会があればと思っていた。
その時のことは少しばかり自分もかいておいた。
そんな水戸の美術館がなぜかポーラ美術館の収蔵作品展をやっているというので、これはちょっといかねばという気になった。なんと72点もやってくるというのだ。ポーラ改修にでも入ったのかと一瞬思ったが、確か今はルドンの企画展をやっているはずである。いちおう10月に行くつもりでいるので、そこそこ楽しみにしてはいるのだが、いつもの収蔵作品のほとんどが出払っているとなると、それもまた微妙ではある。
www.modernart.museum.ibk.ed.jp
いざ行ってみると、大きな公園内にある立派な美術館でなかなか雰囲気がよろしい。
美術館のすぐ近くには千波湖という川?、池?があって、公園の向こうには梅で有名な偕楽園も近接しているらしい。しかし水戸は駅近にこのような大きな公園や文化施設があって、なかなか良い環境だと思う。
で、中に入ると1階は常設展、2階が企画展になっている。
そこでまず企画展「ポーラ美術館展」に。
展示されている作品は印象派からエコール・ド・パリ、フォーブ、そしてピカソなどなど。ほとんどがもう何度も観た大好きな作品ばかりだ。
企画展の一番の目玉はやはりルノワールのこの作品か。一番目立つところにドドーンと展示してある。
そしてセザンヌも3~4点あったか。特に有名なのはアルルカンとこの静物画。
さらに風呂好きで一日に何度もこうして水浴した妻マルトをモデルに絵を描いたというボナールの作品。確か「青のハーモニー」とかそんなタイトルだったか。この作品はボナールの絵の中でもとりわけ好きだ。大きなタライはよく見るとけっこう誇張されているようにも思うし、俯瞰からの構図はタイル地の床と微妙なゆがみがあるような気もしないでもない。多分、これもまた浮世絵を愛したボナールならではの誇張した表現なのかもしれない。
そういえば9月26日からピエール・ボナールの回顧展を六本木新国立美術館でやるという。これもまたとても楽しみなだ。ほとんどがオルセー所蔵品によるものということで、以前三菱一号館でやったオルセーのナビ派展と少しかぶるのではと思っているのだが、ポーラ美術館もボナール作品多数所有しているので、このへんは貸し出しされないのかと思ってみたりもする。
そしてマティスの中でも大好きなのがこの作品。タイトルは読書とかでなく、確か「中国風花瓶」とかそんなものだったか。
ポーラ美術館展は本当に大満足だった。敬老の日で70歳以上は無料ということもあり、多数後期高齢者風の方が来場されていたが、それほど混んでいるということもなく、ゆったりとした気分で名画を観ることが出来て嬉しくなる。
とはいえ、せっかく名画が揃っているのだから、休日だしもう少し人入ってもいいかなとは思った。水戸市民の皆さん、茨城県民の皆さん、一回行ってみるといい。しばし幸福な気分になれると思う。