東京国立近代美術館へ再び

 都内で定例の会議に出席。部下たちと別れてからそのまま竹橋の東京国立近代美術館へ行く。
 最近この毎月定例の連絡会議の後は酒席とかをパスして、一人で美術館を訪れることが多い。神保町からだと歩いても10分程度である。企画展とかがあると上野の西洋美術館や東京駅の三菱一号館に行くこともあるが、ここのところでは一番多いのはこの近代美術館だ。
 今回は企画展はパスして常設展示のみをのんびり回ることにする。6時過ぎに入っても金曜日は9時までやっているので本当にゆっくりと鑑賞ができる。
 まず4階から見て回るのだが、入ってすぐのメインコーナーは9月に訪れた時は川端龍子の「草炎」だった。六曲一双の見事な屏風絵だったが、今回はもう別のものに変わっている。収蔵作品の多い近代美術館ならではの展示作品の月替わりである。今回は加山又造の「千羽鶴」。六曲一双の大作で飛翔する鶴の群とデフォルメされた海の波の流れ。鳥肌が立つような圧倒的な作品である。

 その他では、3階の常設コーナーで東山魁夷の特集展示があった。深緑とグレイの単色に近いような色合いで描かれる風景は、洋画を思わせるものがある。東山魁夷の名前は昔から知ってはいる。そのくらい著名な画家ではあるのだが、きちんと絵を観たことがない。以前、ポーラ美術館で
観た「緑の湖畔」をなんとなく覚えているくらいだが、10点近い彼の絵を次々と眺めていると、その良さがしみじみ伝わってくる。その時感じたのは、これは素人考えではあるが、絹本彩色のものはソフトな感じがし、紙本彩色のものはソリッドな印象を受けた。多分に思いつきではあるが、こういう感覚も大事にしたいと思ったりもする。