ベルギー奇想の系譜

ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで | Bunkamura

 これも気になっていた企画展。とはいえボスからマグリットまでというが、ボスからブリューゲルの流れというのは、東京都美術館ブリューゲルバベルの塔でさんざ観ている。ボスやブリューゲルのグロテスクでユーモラス、かつ悪趣味な絵は面白いし、確かに奇想そのものだが、ああいいう戯画風のものの面白みは感じるが、美しくないので、なんとなく一回観ればいいかなという感じもする。
 今回の企画展も前半はボスの工房作やその追随者の作品、さらにブリューゲルの版画を集めたものでほとんど東美の展示と同じである。東美のそれには一応目玉ともいうべきボスの真作が一つあったが、この企画展ではボスの工房の作である。ただし作品世界的にはこっちの方が断然面白いとは思った。
<トゥヌグダルスの幻視>

 ボスのバカっぽさ全開である。さらにボスの追随者によるものとされるヒエロニムス・ボス派の《聖クリストフォロス》。これなどはボスの真作よりもよっぽど楽しい。