豊田市美術館「モンドリアン展」

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Toyota Municipal Museum of Art 豊田市美術館

 京都からの帰り、豊田市立美術館に寄ってみた。

 ピエト・モンドリアンもといピート・モンドリアンの回顧展は東京でもSOMPO美術館で3月から6月にかけて開催されていたのだけれど見逃してしまった。豊田で開かれているというのでなんとか行きたいと思っていた。都内で開催されていた企画展を見逃して地方で観たというのは、以前マグリットを京都まで追いかけて以来だろうか。

 ピート・モンドリアンに関心をもったのは2014年に六本木の国立新美術館で開かれたチューリッヒ美術館展でだったと思う。その時には確かパウル・クレーの作品の後にまさに抽象画としてカンディンスキー、レジェらとともに展示してあった。この作品だったと思う。

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『赤、青、黄のあるコンポジション

 面白いなとは思った。正直、理解は不能だけどキレイだし、デザイン的だとは思った。その後、『ブロードウェイ・ブギウギ』などを画集等で観て、リズムや音楽的などと通り一辺倒に理解していた。

 そのうえで今回の大きな回顧展である。キャリア初期の具象的な風景画からヤン・トーロップの影響で点描に挑戦。その後、キュビスムに傾倒し、次第に抽象性を帯びた多面性から線による分割に、そのいきついた先が原色の面を直線によって分割させたコンポジションという作品群ということになるらしい。

 しかし解説等を読んでも正直今一つわからない。ただキャリア初期の具象的な風景画からの様々な試行の足跡を観るにつけ、苦労したというか試行錯誤を続けていったのだということはわかる。それにしても彼の具象的な風景画はえらく凡庸でもある。これはあまり売れなかっただろうなと適当に想像してしまう。

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『乳牛のいる牧草地』

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砂丘Ⅲ』

 そしてキュビスムへ。

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『女性の肖像』             『コンポジション木々2』

 そしてそして・・・・・。

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 さらにそしてそして代表作登場。

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『大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション

 結論的にいうと、結局凡人の自分にはまったくわかりません。凡人的な適当な考えをいえば、売れない画家が自分の表現手段を様々に模索し、出来ればそれで売れるようになりたいと、点描、キュビスムなど様々な表現方法にチャレンジ。その先でたどりついたのが幾何学的な色面による抽象絵画。そうしたらこれが当たって、最後はアメリカに渡って抽象絵画の巨匠として取り扱われ、めでたしめでたしみたいなことではないかと、そんな風に思っています。

 画力は多分ある人なんでしょうが、いかんせん具象的な風景画はこれはあきませんという感じだ。その良さを誰かプロに解説してもらったとしても、やっぱり凡庸という印象は拭いきれないかも。

 『コンポジション』を中心とした抽象画については、キレイで面白いしデザイン的。そういう意味では先進性があったと思う。今の商業アートの潮流の中では逆にクラシックな感じで評価され続けていくのだろうとは思う。