以前から行ってみたかった福島県立美術館へ行った。
裏磐梯からは山越えで115号を走って福島市に抜けた。割合と快適なドライブだった。13年前に裏磐梯に来たときはグランデコとかけっこう周辺観光を楽しんだが、今回は前日に諸橋近代美術館と五色沼に行っただけ。ほとんど泊まりと通過だけみたいな感じだ。とはいえ福島まで来ないと県立美術館まで行くのは相当しんどい。
GWとあってか美術館は昼前だというのにすでに混んでいて、駐車場待ちの車で渋滞していた。誘導員に身障者がいると告げると、手帳はあるかと聞かれ、提示すると優先的に案内してくれて、美術館の入り口付近に駐めることができた。こういうときだけは、体が不自由な者がいるということで細やかな恩恵がある。もっとも五体満足だったなら、そんな便宜は全然必要ないということではあるのだが。
美術館は景観も含めてとても美しい、雰囲気のある建物。
そして混んでいる理由がこれである。
若冲は今人気が凄い。福島でも昼過ぎくらいでも物凄い人だった。とはいえワクワクドキドキかというと、なんとなくもう食傷気味みたいな部分もある。とにかくお客さんが多くてゆっくり鑑賞できないということもある。それとは別に、たとえば今年に限っても東美でやっていた奇想の系譜展などでも沢山観ていたことなんかもあり、どことなく自分の中ではもう若冲は当分いいかなと思う部分もある。
群鶏図等にあるような細密描写でありながら、顔の表情などはデフォルメされたユーモラスな部分に癒しやほっこりとさせられる部分もあるにはある。若冲はデフォルメが魅力と半可通的に思ったりする部分もある。そんな考えを壮大に肯定してしまうような、究極のほっこり絵がこの一枚である。
福島県立美術館に来たかったのはもともと収蔵品が充実しているから。なので実は若冲よりも常設展の方が目玉的だった。
いきなり飛び込んできたのは速水御舟の作品群。なかでも夫人をモデルにしたというこの二つの作品は惹きつけるものがある。
そして安田靫彦のこの作品も張り詰めた緊張感溢れる。
さらに初めて知る画家だが池田遥邨のこの作品も気に入った。
また洋画の方でもコロー、モネ、ピサロ、ルノワールの名品が展示されていた。
さらにここにはワイエスの作品が数展収蔵されている。そのうちの3点を観ることができた。細密な写実画でありながら、その重くダークな描写をすべて水彩で描いている点はある種の感動でさえある。