シャセリオー展

 国立西洋美術館でやっているシャセリオー展に行ってきた。
 といってもシャセリオーについての予備知識はほとんどない。絵の上手い、所謂画力のある画家であること。アングルの弟子筋にあり、サロンを中心に活躍したということくらいだろうか。
 国立西洋美術館に何度通う度に、チラシや予告ポスターを見て魅力的な絵だと思い、絶対に行こうと思っていた。
 この日は妻と二人で車で上野に行った。上野では駅の目の前にある上野パーキンセンターをよく利用している。ここから上野の美術館へは多分一番近いので、何度も利用している。いつも混んではいるが、それでもなんとか入れることが多いのだが、ビル型の駐車場のため、通路、駐車スペースともかなり狭い。だいたい3時頃に着いて西洋美術館に入ったのは15分を少し回ったくらいだったか。
 シャセリオーは期待を裏切ることなく、美しい、一言で言えばまさに上手な絵。サロン派なので当然のごとく筆触もほとんどない。イタリアのオールドピースに影響されたこと、アングルの影響等、新古典主義の範疇ではあるのだが、後にロマン派に移行し異国情緒あふれる絵を描いた。さらにいえば、シャヴァンヌやモローに影響を与えた画家ということもあり、じょじょに象徴性を帯びていくとは解説にあった。
 ただし、系統だって絵を観ていくにつれ、上手いだけどインパクトに乏しいかなとか、少々だれるかなとか、いろんな思いもでてくる。こうした企画展、回顧展に行くとだいたい図録を買ってくるのだが、今回はなんとなくパスしてしまった。結局、どこか琴線に触れることなく、絵は上手いんだけどね、みたいな感じだったか。
結局個人的には「カバリュス嬢の肖像」、「泉のほとりで眠るニンフ」、「トクヴィルの肖像」の3枚で良かったかなとも思っている。
 その後はいつもの常設展を堪能。新館常設展示スペースではノルウェーのスケーエン派の企画展がまだやっていたので、そちらも駆け足で観た。

 この回顧展の最大の目玉といっていい「カバリュス嬢の肖像」。

 この時代のサロン派の画家の絵としては珍しく女性の体毛が描かれている「泉のほとりで眠るニンフ」。とはいえこれはリアリズムというよりは神格化された美の体現かもしれない。