オルセーのナビ派展

 三菱一号館美術館で行われていた「オルセーのナビ派展」に行ってきた。
 オルセー美術館印象派の宝庫というイメージが強い。オールドマスター中心のルーブルに対して印象派のオルセーという対比だ。しかし解説によると現在の館長はナビ派の研究者でもあるということで、ナビ派のコレクションに力を入れているという。
 ナビ派とは、19世紀後半にポール・ゴーギャンの影響下にあった若き画家達の前衛運動みたいなところか。主観的な鮮やかな色彩感覚、立体感のない平板な構図、浮世絵の影響、家族など身近な題材を中心とした親密性、壁画、タペストリーなどに通じる装飾性なんかが特徴といわれている。
 その影響は主に色彩的にはフォーヴィズムに影響を与え、装飾性はエコール・ド・パリの幾人か、あるいはアール・ヌーヴォーときをいつにしていたともいわれている。
 代表的な画家は、セリジェ、ドニ、ランソン、ボナール、セリジェ、ヴュイヤールなどなど。2年前にこの美術館で回顧展をやっていたヴァロットンもメンバーの一人だ。
 展示された作品群は圧巻のひとこと。とくにボナールやドニはもともと大好きな画家だが、堪能した。同時にヴュイヤールの進取な才能にも正直舌をまいた。どちらかといえば狭義の親密派、なんとなく家族を描くことが多いドメスティックな画家というイメージだったのだが、その色づかいは彼こそフォーヴィズムの先駆者だったのではと思わせるものがあった。
  

 大好きなヴァロットンの「ボール」と再会できたのちょっと嬉しかった。