東京富士美術館再訪


 ひと月ぶりくらいの来訪。前回も思ったがここは企画展やらないで常設展だけで十分のようにも思ったりもする。まあ創価学会の財力の一部を投入したのだろうけど、このコレクションはとにかく絶賛したい。池田大作の意向が寄与しているとか、彼の趣味でナポレオンの肖像画が多く収蔵されているとか、幾つか逸話はあるようだが、こうした形で文化に、社会に貢献している点はきちんと評価されるべきだろう。
 というか、この美術館はもっと一般に知られてもいいのではないかと思う。ここの西洋絵画コレクションは日本でも最大級だと思う。ここを超えるのは自分の知ってる限りでは、国立西洋美術館かポーラ美術館くらい。
 その収蔵作品を一挙公開するというのが今回の企画展である。前回来た時にもこれは一回では無理、何回か通いたいとは思った。なので大満足でもある。今回は一応芸術専攻の子どもを連れて来たのだが、どれだけわかってくれたか。

 今回は後半の印象派よりもそれ以前のアカデミズム系やバロックロココあたりを時間をかけてみた。基本ミーハーなので、この美術館でも一二を争うくらいに人気というジュール・ジェーム・ルージュロンの「鏡の前の装い」などをのんびりみた。いやこの美しい女性を見てるだけで眼福というところだ。


 ルージュロン(1841-1880)はカバネルに学んだという。サロンに出品を続けたということもあり、アカデミズムの影響下にあった画家なのだろうと思う。サロン派という意味でいえば画力はしっかりしている。所謂絵のうまい画家だ。主にはスペインで活躍したと富士美術館の解説にもあるが39歳と若くして亡くなっている。時代がこれかれ変化し、絵画の世界も様々に新しい潮流が生まれるだけにもう少し長生きしていれば、活躍できたかと思う部分もある。
 あと同じ夜会というシチュエーションからジェームズ・ティソ「夜会あるいは舞踏会」なんかを思い出したりもしないでもない。